『レスポール大名鑑』(Pヴァイン・ブックス)を読んでいる。
ロック史上最大の功労者と言える
レス・ポールの全てを詰め込んだ1冊。
ギタリストのレス・ポール本人と、
彼がギブソンと共同開発したギター、レスポールについての
両方に触れられているけど、
やはり紙面を多く割いているのはギターの方。
そちらに関してはまだ読み進めてはいないが、
第1章で語られている人間レス・ポールについては
かなり面白く読んだ。
やはり神童というか天才というか。
10歳くらいまでにはハーモニカ、ピアノをマスター、
ギターを始めてすぐさま人前でプレイするようになって
チップを貰いまくったというから凄い。
また10代の頃に地下室に自分だけのラジオ局を開設したり、
小型のアンプ・システムと原始的なエレキ・ギターを
自作したというから恐れ入る。
レス・ポールという人間が本当に希有だなと思うのは、
音楽家のセンスと理工系の頭脳を両方持ち得たことだ。
普通こういうソフト面とハード面はあまり両立し得ないと思うんだけど、
本書を読むと2つともとんでもない才能だったことが改めて分かる。
ちなみにレスがあんなにも革新的なギター・サウンドを追求したきっかけは、
母親がラジオでレスのギターを他のギタリストと間違えたからだとか。
母親がいつ聴いても息子のギターだと分かるような、
個性的な音を作り出さなければいけないと思ったんだって。
あの驚異的なサウンドが
こんなにもほっこりとしたエピソードから生まれてたなんて。
読んでいて俄然面白くなってきたのは
やはり1940年代にメリー・フォードと出会ってから。
女性歌手のオーディションで出会った2人は
40年代から50年代にかけて、
レス・ポール&メリー・フォードとして世界を席巻する。
その項でも、
実はメリー・フォードもカントリー・ギターの名手だったことや、
1948年に2人して数百メートルの谷底に転落するという
凄まじい自動車事故から奇跡的に生還したことなど、
知らない情報だらけだった。
本書には600を超す図版が満載なのだが、
レス&メリーのレアな写真や、レコード・ジャケット、
シート・ミュージックなどがたくさん掲載されていてそれも見所のひとつ。
また、50年代に2人が出演したTVショウでの1コマなども
映像のキャプション画像と邦訳で再現されている。
中でも『オムニバス』というTV番組(1953年)には、
レス&メリーの録音がどのように行われているかを
2人が解説・再現したシーンがあって興味深かった。
このシーン、YouTubeにないかなと探してみたら
なんと全く同じものがアップされていた。
24トラックものテイクを重ねるというレスの説明に
司会者が驚愕したりして面白い。
何と言ってもレス・ポール、当時38歳のノリに乗った
早弾きプレイが見事!
今日のBGM:「How High The Moon」by Les Paul & Mary Ford
↑その『オムニバス』で披露してたナンバー。
このデュオの最初のビッグ・ヒットで、
1951年にチャート1位に輝き150万枚を売り上げたとある。
あまりの売れっぷりにキャピトルの重役たちが
「ギャングも泣いて謝るほどの大ヒット!」と悲鳴を上げたとか。
時代を感じるコメントが可笑しい。
↓当時のシート・ミュージック。

