旬なアーティストが昭和の歌謡曲を
生演奏でカヴァーするという歌番組で、
昨年の秋頃に特番でやったのを観て面白かったので
レギュラー化するのを待っていた。
(もし自分がNHKの社員だったら企画してたような番組!)
確かその特番の1回目に、
ゲストの斉藤和義が沢田研二の「ダーリング」と
梓みちよの「二人でお酒を」をカヴァーしたのだが、
それがすごく良かったのだ。
ゲストの選択と(制作サイドのセンス)、
そのゲストが選ぶ歌の選択(ゲストのセンス)がふたつとも的確ならば、
その回は絶対面白くなるはず。
そういう意味で斉藤和義と「ダーリング」という組み合わせは完璧だった。
そして昨夜放映された、
記念すべきレギュラー化第1回目のゲストは
クレイジーケンバンドの横山剣!
それだけでも嬉しいのだが、
剣さんが選んだのは堺正章の「さらば恋人」と、
森進一の「冬のリヴィエラ」という
これまた完璧な選曲だった。
ただ「好きな曲」というだけではなく、
声質やキーなども考慮に入れた、
自分が歌えば確実に映えることを知り抜いた
素晴らしいセレクトだったと思う。
剣さんが歌う「さらば恋人」はちょっとフェミニンな空気を漂わせ、
逆に「冬のリヴィエラ」では男汁をジュワッと滲ませた熱い歌唱が、
オリジナルにはない色気を醸し出していた。
剣さんはこの2曲を選んだ理由として、
曲を作った筒美京平と大瀧詠一への熱い想いも語っていたが、
特に大瀧さんの話が面白かった。
中学3年の時に三ツ矢サイダーのCMを見ていいなと思い、
スポンサーの会社に直接電話して
「自分が作った曲も使って欲しい」と直談判したとか。
「そういうことは広告代理店に言ってください」と言われ、
すぐに代理店にも電話したというからスゴい(恐るべき15歳!)。
「サイダーの会社に電話して…」のくだりで、
てっきり「それが大瀧さんの音楽との出会いでした」
みたいな話になるのかと思ったら、
自分の曲の売り込みの話だったとは!
でもその後に大瀧さんについて、
「マニアックなことを極めながら王道でも結果を出した人。
そこがかっこいいですよね」
としっかり評価もしていた。
今日のBGM:「愛の戯れ」by 平山三紀
この番組ではゲストのオリジナル曲も1曲だけ歌われるのだが、
今回披露されたのがクレイジーケンバンドの「横顔」だった。
そのフィリー・マナーなサウンドを聴いて個人的に思い出したのが、
↑平山三紀の「愛の戯れ」という曲。
筒美京平の作・編曲によるフィリー歌謡の快作で、
こういう曲に剣さんはことごとく影響されてるなと。