2014年01月05日

あとは各自で

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

このブログも今年で5年目に入る。
最低3年は続けようと思っていたこともあって、
それを過ぎたあたりからペースもスロウダウンし、
モチベーションも少しずつ下がってきた。
書いていても「またこの話題か!」とか「この話、面白いのか?」と
自問自答している自分がいる。
最初の頃に好きなことを無邪気に書いていた楽しさは
いつのまにか消えていた。
続けるということは本当に難しいな、と思う。

自分は音楽や映画が好きで、
良い作品に触れた時の「血沸き、肉躍る感覚」を誰かに伝えたいという
シンプルな動機が、このブログを立ち上げた時にあったと思う。
考えてみれば、その「血沸き、肉躍る感覚」を一番最初に
強烈に味わわせてくれたのが大瀧詠一の音楽だった。
「なんでこの音楽に自分はこんなにも興奮するのか?」
という疑問を解き明かすために、中学生の頃、
60年代ポップスを真剣に聴き始めたと言ってもいい。
そしてその答えはまだ出ていない。

このブログの最初の方でも、
大瀧さんの曲の元ネタをああでもないこうでもないと論じることで、
その疑問に少しでも近づくのかなと思ったりもしていたけど、
徐々にちょっと違うなと思うようになってきた。
細かいことにこだわっていても何も分からないし、
例え正解がひとつ見つかったとしてもそれはそれだけの意味。
大瀧さんの音楽の魅力を紐解くには、
その元ネタをたくさん見つけても、
もちろん大瀧さんの音楽そのものを研究しても、
本質にはあまり近づかないような気がするのだ。
そのことに何となく気付いてからは、
本ブログで大瀧さんの音楽の話題をあまりする気がなくなった。

健太さんがここで書いているように、
大瀧さんは音楽だけじゃなく、スポーツ、落語、映画、文学、
オーディオ、コンピュータ、芸能ゴシップ、CM、政局など、
あらゆる方面に興味を向けていた。
しかもそのひとつひとつの考察がハンパじゃない深さだと。
時間とお金があれば誰にでもできそうに思うが、実はこのことは難しい。
義務とか仕事とか勉強のためではなく、
「楽しんで夢中でやること」が相当に難しいと思うのだ。

前述したように、なぜ僕は大瀧さんの音楽に「血沸き、肉躍る」のか?
という疑問に正確には答えは出せていないが、
何となく今言えるのは、大瀧さん自身がずっと
「血沸き、肉躍ってた」人じゃなかったからではないかと。
クールな客観性や知的な判断力も常人より確実に持ち合わせてた人だけど、
基本的には物事に対して常に熱く、楽しめる人だったと思う。
そういう人が作った音楽だから、僕は他のどんな音楽よりハマったのかも、と。

「結局ぼくは、苦しいとか思ったこと、
自慢じゃないけど1度もないんだよ。これは音楽に限らず。
ハタから見て苦しそうだってことはあったかもしれないけどさ(笑)。
あと、忙しいと思ったこともない。いつでもヒマなの。それで、いつでも楽しい。
これはずーっと変わんないですねぇ」(大瀧詠一/1984)


自分がブログを書き始めて気付いたこと。
それは日々凹むこともあって、何も感じない日も多々ある。
もちろん単に忙しかったり、周りを気にしたり他人に嫉妬したり。
何かに熱くなってもすぐに熱が冷めたり、急に虚しくなったり…。
そんな時にそのまま暗い気持ちを書き綴っても誰も読んではくれないし、
元気なフリをしてもすぐにバレる。何より自己嫌悪に陥る。
大瀧さんみたいに「いつでもヒマで、いつでも楽しい」と本気で言い切って、
何のしがらみや利益にも影響されず、
自分の興味だけをただただ掘り下げていくのがどれだけすごい才能かと。

そう考えると、
大瀧詠一という人の人生はすごく幸せだったんだなぁと思う。
そして、まだ血沸き肉躍っている最中にいきなり逝ってしまったのは、
もしかするとすごく“幸せな結末”だったのかもしれない。
(もちろんまだ早過ぎるし、
もっともっと研究成果を聞きたかったという痛恨の気持ちも当然ある)

残された僕たちと言えば、
大瀧さんが示してくれた生き方や姿勢を参考にしながら、
自分なりに熱くなれる興味や題材をそれぞれ見つけて、
それに邁進しながら常に楽しく生きていくしかない。
そう思えば、このブログももう少し続けていってもいいかなと。

「あとは各自で」

結局のところ、それしかないし、そういうことなんだろう。


今日のBGM:「こんな時、あの娘がいてくれたらナァ」by 大滝詠一

↑大晦日、帰省した故郷のバス停でバスを待っていると
iPodからこの曲が流れてきて、突如涙が溢れてきた。
なぜこの曲だったのか、よく分からないけど
『Go! Go! Niagara』というアルバムが自分の中で特別な1枚なのは確か。


Go! Go! Niagara.jpg




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2013年12月21日

Someday At Christmas〈Part 4〉

昨日の続き》

その日はもう遅いので、
鎌倉ではなく千葉の実家に帰った。
翌日、『ドレミファブック』のレコードを両親に見せて、
記憶にないか聞いてみたが「全くない」とのつれない返事。
「あなたたちが僕に買い与えたんですけどね」と言っても
「さあ?」と首を傾げるばかり。
まぁ無理もないか。40年も前のことだ。

一応、父親の部屋のレコード棚や、
押し入れの自分の幼い頃の荷物をひっくり返して探してみたが、
目当てのレコードや絵本らしきものは一切出てこなかった。

そして昨晩、Kさんに頂いたレコードを
もう一度じっくりと聴いてみた。
(クリスマスの晩まで待ちきれず)


Doremifa Records1.jpg

↑これがジャケット表。サイズは7インチよりも若干大きかった。


Doremifa Records2.jpg

↑ジャケット裏。


なんとA面1曲目の「ジングルベル」のヴォーカルは
シンガーズ・スリーだった。
自分はこんなにも幼い頃から伊集さんの声に慣れ親しんでいたのか。
アレンジもアニタ・カー・シンガーズみたいな感じの
オシャレなソフトロック。
他の曲もフルートやチェンバロ、ヴィブラフォンなどを
多用したゴージャスかつ繊細なアレンジで、
子供用だからと決して手を抜いていない素晴らしい仕事ぶり。

B面の「ファミリー・クリスマス」は
ある家族のクリスマスの夜の出来事を描いた物語。
父親役を演じた児玉清の暖かい声が子供心にすごく印象に残っていて、
児玉さんが亡くなった2年前に、
ふとこの物語のことを思い出して書いたのがこの日のブログだった。

でも微かな記憶を頼りにしてブログに書いた物語の内容は全く違っていて、
息子が高いツリーを登って宇宙に行ってしまうのは夢ではなくて、
家族の前で披露した彼の妄想だった(そっちの方が物語として面白い!)。

今聴くと、高度経済成長期の日本が理想としていたような
幸せな4人家族(当時都会で増えていた核家族)の風景が描かれていて、
少々くすぐったい気持ちになるけど、
当時の子供たちはまさにそういった家族と共に
このレコードを楽しんで聴いていたのだろう。
(もちろん自分もその1人だった)

この物語の中にも、
さまざまなクリスマス・ソングが挿入されているのだが、
それらの曲も小粋なアレンジでいちいちセンスが良い。
(例えば「ホワイト・クリスマス」は
フィンガー・スナッピンを効かせたスウィング・ジャズ風!)
本当に細かいところまで丁寧に作っていて驚くばかり。

ドレミファブック・シリーズで披露されたこれらの曲は、
現在第一線で活躍している同世代のミュージシャンたちにも
大きな影響を与えているようだ。
スピッツの草野マサムネ氏、スカパラの沖祐市氏、
L⇔Rの黒沢健一氏などがその影響を公言しているとか。

今回「ドレミファブック」との再会を経験して、
自分の音楽体験の原点みたいなものを再確認したような気がする。
そして自分の“クリスマス好き”の原点も。

この「ドレミファブック」のレコードを
いつか、クリスマスの時期に聴きたいと長年思っていた。
その夢を叶えてくれたKさんとそのご家族に心からお礼を言いたいです。
本当にありがとうございました。

《終わり》


今日のBGM:「ママと ふたりの クリスマス」by 加藤みどり

↑A面収録の5曲のうち、唯一のオリジナル・ナンバー。
作詞は若谷和子、作曲は服部公一、歌は「サザエさん」の加藤みどり。
チェンバロの響きが切ないバラードで(母子家庭の歌?)、
自分の中では『ひらけ!ポンキッキ』の
「ぼくわるかった」に匹敵するほどの名曲!


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2013年12月20日

Someday At Christmas〈Part 3〉

昨日の続き》

駅に迎えに来てくれたKさんご夫妻は、
フレンドリーでとても優しそうだった。
ご自宅までの車中で早速ドレミファブックの話題になると、
Kさんから驚きの進展が…。

なんとネットのオークションで、
クリスマス別冊を2冊一緒に落札して入手したという。
かなりの高額で迷ったそうだが、
この機会をどうしても逃したくなかったと
Kさんは満足そうに答えた。

今回僕はレコードだけ聴けると思っていて、
もちろんそれだけでも十分に満足だったのだが、
まさか付属の絵本まで手に取って見られるとは…。
胸の鼓動がどんどん高まっていくのを感じた。

マンションの最上階のご自宅に案内されると、
壁の棚にはアナログ・レコードがビッシリ。
リビングとリスニング・ルームが一緒になった部屋は、
自分のような音楽好きにとってとても居心地が良い。

ご主人は50代で僕より一世代近く上だが、
驚くほど自分と音楽の趣味が似ていた。
ソウルやドゥ・ワップが一番好きだと仰っていたが、
オールディーズ、ボサノヴァ、映画音楽、イージーリスニング、
更にはギターポップ、ネオアコ、ナイアガラまで…。
まるで同世代の人と話しているような錯覚に陥るほど、
音楽趣向の精神年齢が若い。
(一番衝撃だったのはカメラ・オブスキュラの大ファンだと言われた時!)

更に若い頃はバイトでイラストを描いていたそうで、
将来の夢はジャケット・デザイナーになることだったと話してくれた。
だから『ジャケガイ』の本は自分のセンスにドンピシャだったと。
なるほど、音楽の趣味が似ている以前に
デザインとかアート系の出自が共通していたんですね。

話が弾んで打ち解けた頃、「では、そろそろ
目的のクリスマスのレコードを聴きましょうか」とご主人。
『DOREMIFA RECORDS』と印刷された青いジャケットを見た時、
ああこれだ!と思わず声を上げてしまう。
そしてA面の1曲目「ジングルベル」の鈴の音と
柔らかな女性コーラスが流れ始めた瞬間、
懐かしさで胸がいっぱいになった。
よく音楽はタイムカプセルというが、
まさしく5、6歳の頃の自分に一気にタイムスリップしてしまったのだ。

更にKさんが入手した絵本『ドレミファブック別冊 クリスマス特集』を
2冊ともテーブルに持ってきてくれた。
すごく状態が良くて値段が高かったのも分かる。
自分が持っていた方の1冊を開いてみると、
小さい頃に1ページ1ページ食い入るように見ていた
懐かしい挿絵が次から次へと目に飛び込んで来た。

もう目と耳の両方から懐かしさの強襲!
頂いたシャンパンのせいも相まって、少しクラクラしながら
40年振りに体験するクリスマスの音楽と物語を楽しんだ。
正直もっとじっくりと音楽と絵本に対峙したかったが、
レコードはあっと言う間に終わってしまった。


Doremifabook1.jpg

↑これが『ドレミファブック別冊 クリスマス特集』の2冊。


Doremifabook2.jpg

↑こちらが自分が小さい頃に持っていた方。


Doremifabook3.jpg

↑その中の見開きページ。レコードのB面に収録された
「ファミリー・クリスマス」という物語の挿絵が。
この挿絵もすっごく良く覚えてる!
(調べたら挿絵作家の矢車 凉という方の絵でした)


その後はKさんの美味しい手料理をごちそうになりながら、
音楽や映画やデザインや旅行や70年代のレコード屋のことやら、
とにかく様々な話題で盛り上がり(ほとんど音楽のことだったけど)、
気付くともうそろそろおいとまの時間。

絵本とレコードに後ろ髪を引かれながら帰り支度を始めると、
Kさんが「これ、持っていって下さい」と
『ドレミファブック』のレコードを差し出した。
「すみません。では、お借りしますね」と僕(やった!と心の中で叫ぶ)。
「差し上げます。2枚持っていてもしょうがないですから」とKさん。
「…え…」

そうか、実家から持ってきたレコードと
オークションで絵本と共に入手したレコードと、
Kさんの家にはレコードだけがダブって存在しているのだった。

実家で大切にしまっていたレコードを頂戴するのは
いささか心苦しいと思わないでもなかったが、
情けないことに自分の欲望の方が勝ってしまう。
「あ、ありがとうございます!!」と深々とお礼をして、
Kさんのご自宅を後にしたのだった。
もちろんまた会う約束をして。

実家に向かう電車の中で充実した1日を振り返る。
初めて会う、どこの馬の骨とも分からない自分に、
ここまでのことをして頂く理由が果たしてあったのだろうか。
1枚の古いクリスマス・レコードが繋いだ不思議な縁と、
シャンパンの酔いに気持ちを高ぶらせながら、
紙袋に入ったレコードを眺めた。

そしてもう一度、このレコードを
家でじっくりと聴くことができる喜びを噛み締めたのだった。

《明日に続く》


今日のBGM:「The Boy From New York City」by The Ad Libs

Kさんのご自宅にいる間、
ご主人のiTunesのシャッフルがずっと流れていたんだけど、
その選曲がいちいち自分のツボで。
エイプリル・ヤングとかスキーター・デイヴィスとか
アルマンド・トロヴァヨーリとかワンダーミンツとか。
その度に話題が流れている曲のことに変わって、例えば
「ビーチ・ボーイズで一番好きなのは“Kiss Me Baby”なんだ」とか
「アド・リブスの曲のドラムスはバーナード・パーディなんですよね」とか。
(↑曲はそのアド・リブスの1964年のヒット曲)


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