2014年07月01日

I Get Around

一昨日の湘南ビーチFM
『SEIKO Hits Around The Clock』で紹介された
50年前のチャート。

1964年6月27日付 ビルボードTop 10

10位 ディオンヌ・ワーウィック「Walk On By」
9位 ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタス「Bad To Me」
8位 レイ・チャールズ・シンガーズ「Love Me With All Your Heart」
7位 ジェリー&ザ・ペースメイカーズ
「Don't Let The Sun Catch You Crying」
6位 ジョニー・リヴァース「Memphis」
5位 バーブラ・ストライサンド「People」
4位 ミリー・スモール「My Boy Lollipop」
3位 デキシー・カップス「Chapel Of Love」
2位 ビーチ・ボーイズ「I Get Around」
1位 ピーター&ゴードン「World Without Love」

ディオンヌ・ワーウィックやバーブラ・ストライサンド、
ゴーゴー男のジョニー・リヴァースなど
新顔が多く入ってきたけど、
相変わらずブリティッシュ勢が強いチャート。
ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタスの「Bad To Me」は
ジョン・レノンの曲で、
ピーター&ゴードンの「World Without Love」は
ポール・マッカートニーの曲なので、
ビートルズが全くいないTop10ながらも
レノン&マッカートニーの支配下にあるチャートだと言ってもいい。

ベスト3のラインナップが素晴らしい!
デキシー・カップスの「Chapel Of Love」は
前週、前々週と2週に渡ってNo.1を穫った後の3位。
逆にビーチ・ボーイズの「I Get Around」は
10位→3位→2位と順調に上り詰めてきた。
ピーター&ゴードンの「World Without Love」も
7位→2位→1位で遂にトップをゲット。
エリー・グリニッチとブライアン・ウィルソンと
ポール・マッカートニーという
才能ある若き作曲家たちの熾烈な攻防に胸が熱くなる。
(これぞ1964年のチャート!)

ところで、
夏の一歩手前のこの時期に
ビーチ・ボーイズの「I Get Around」が
ヒット・チャートに登場する瞬間て
どんな感じだったんだろう?

ふとそんな疑問が湧いたので、
ボブ・グリーンの『十七歳』を久々に読み返してみる。
すると上巻(『1964春』)の245ページにこんな記述があった。


1964年6月2日
数学の最終試験には反吐が出る。
歴史とフランス語はOK。
試験を終えて学校を出ると、
ミリタリー・スクールからもどってきたばかりのアレンが
カシンガム通りに車を停めて待っていた。
彼が戻ってきて気分は最高。
ABCDJがまたそろったことで、僕は、
夏がすぐそこまでやってきていることを実感した。
午後はみんなで彼の車に乗ってベスクリーじゅうを走りまわった。
ビーチ・ボーイズが、最高にいかすニュー・ソングを歌っていた。
タイトルは『アイ・ゲット・アラウンド』。
これぞ正真正銘のサマー・ソングだ。
WCOLは、僕らが車でドライヴしているあいだにその曲を二度かけた。
明日の期末試験で、今年度の学校はすべて終了する。

ボブ・グリーン『十七歳』 井上一馬 訳



なるほど
「I Get Around」はこういうシチュエーションで聴かれたのか。
期末試験が終わって、夏休みに入る直前の
あのウキウキした瞬間に登場するビーチ・ボーイズの新曲。
最高のタイミングだ。

ちなみにこの『十七歳』は
アメリカのコラムニスト、ボブ・グリーンが
17歳の時につけていた日記をもとに書き上げた小説で、
1964年のアメリカの地方都市(オハイオ州コロンバス)で過ごす
17歳男子のライフスタイルが生々しく綴られている。

今回このブログを書くにあたって
ページをパラパラと捲っていたら、
サーチャーズの「Needles And Pins」やら
フォー・シーズンズの「Rag Doll」やら
スキーター・デイヴィスの「I Can't Stay Mad At You」やら
ブルース&テリーの「Summer Means Fun」やらが
物語の中に次から次へと登場して、
クラクラと目眩がしてしまった。


今日のBGM:「Mixed Up, Shook Up Girl」by Patty & The Emblems

↑今回のチャートで85位に登場した
すごく気に入ったナンバー。
レオン・ハフ作曲によるフィリー・ムード満点のアーリー・ソウル。
どうやらニュージャージー出身のグループで
この1曲しかヒットがないらしい。


Patty & The Emblems.jpg


posted by Good Time Graphicker at 03:53| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする