会場がどんな雰囲気か確かめるために
ちょっとだけ顔を出して帰ろうと思っていたら、
先に来ていた友人たちに引き止められ
結局映画を最後まで観てしまった。
でもそのせいで潮風が心地良い夕暮れの海岸で映画を観るという、
(『ニュー・シネマ・パラダイス』的な)至福な時間を味わえた。
Iさん&Z、ありがとう。



『モーターサイクル・ダイアリーズ』、もう10年も前の作品なのか。
公開時(今は亡き)恵比寿ガーデンシネマで観て、
その後ビデオで1回、テレビでも1回。
今回で4回目なのにまた見入ってしまった。
それほど好きな作品。
若き日のチェ・ゲバラを描いた内容で、
強烈な旅情を煽られるロード・ムーヴィーでありつつ、
向こう見ずで甘酸っぱい青春映画でもあり、
社会的、政治的な色合いも帯びた奥深い作品。
最初に観た時は30代半ばで、
旅を通して精神が変容していくという物語に興奮しつつも
正直、もっと若い時にこの作品と出会いたかったとも思った。
それほどまでに23歳のゲバラの真っすぐな行動が
当時の自分には眩しく感じた。
(仕事で疲れ切っていたのかなぁ…)
今日、会場にはたくさんの若い人が来ていたが、
彼等の目には、無謀で情熱的で理想家でバカ正直な
(今の日本の空気とは全く相容れなさそうな)主人公の姿が
いったいどう映ったのだろう?
GWど真ん中の、
一見ピースフルでカーニヴァルな映画祭に
こういう骨のある硬派な作品を紛れ込ませた主催者に対して
エールを送りたい気持ちだ。
ちなみにフランシス・フォード・コッポラは
この『モーターサイクル・ダイアリーズ』を観て、
ジャック・ケルアックの『オン・ザ・ロード』を映像化できるのは
ウォルター・サレス監督しかいないと判断したそうだ。
(映画『オン・ザ・ロード』の話はまたの機会に)
今日のBGM:「Bad Motorcycle」by The Storey Sisters