ワーナーの「ブリティッシュ・ビート50周年記念
紙ジャケット・コレクション・シリーズ」が大好評で、
ハーマンズ・ハーミッツとかホリーズとかマンフレッド・マンがよくかかる。
聴いていると嬉しいやら羨ましいやらで
お金が有り余っていたら全タイトル大人買いしたいくらいだけど、
ブリティッシュ・ビートは今の若い人たちにも結構人気で
ほっといてもそこそこ売れると思うので、
ここでは昨年リリースされた「Masters Of POP 1000 Best Collection」
シリーズから(人気のない)オールディーズの名盤を
ひたすら紹介し続けることにする。
今日はロン・ホールデンの『Love You So...』
(WPCR-27804)をピックアップ。
1960年にデル・ファイの姉妹レーベル、ドナからリリースされた
ロン・ホールデン唯一のアルバム。
全米7位を記録したタイトル曲「Love You So」については
この日のブログでたっぷりと書いたから省略するけど、
アルバム全体としても聴きどころが多かった。
「Love You So」にハマった人ならば、
「Here I Come」や「True Love Can Be」も朴訥とした味わいで
好きにならずにはいられないナンバー。
でもそれ以上に最高だったのは「Gee, But I'm Lonesome」と
「Let No One Tell You」の2曲だった。
2曲ともフラミンゴスなどを彷彿させるような
ドリーミーなドゥ・ワップ・バラード。
どちらもプロデューサーのブルース・ジョンストンが作曲に絡んでいて、
裏ジャケのクレジットを見ると
Orchestrated & Conducted by Bruce Johnstonとも記されている。
この夢見心地な素晴らしいアレンジも彼の仕事なのだろうか。
(当時ブルースはなんとまだ18歳!)
ローカル・ヒットしたロン・ホールデンの
「Love You So」を聴いて彼を引き抜いて、
ブルース・ジョンストンと組ませたのは
デル・ファイ・レーベルのオーナー、ボブ・キーンだったそうだが、
この人も実に興味深い人だ。
もともとクラリネット奏者だったが、
ギリシャ人のビジネスマンとキーン・レコードを発足。
キーンからはほとんど棚ボタのかたちで
サム・クックの「You Send Me」が大ヒットしたが、
その後ギリシャ人と決裂して自身のレーベル、デル・ファイを始める。
(Del-Fiという名前はギリシャ神託のDelphiからとったそうだ)
デル・ファイの第1弾がリッチー・ヴァレンスで、
そのヒット曲「Donna」を冠したサブ・レーベル、ドナの
第1弾がこのロン・ホールデンだった。
ボブ・キーンってちょっと山師というか、
胡散臭いところもあるようにも見えるけど、
リッチー・ヴァレンスにしろロン・ホールデンにしろ
ちゃんと当てて(ヒットを出して)いるわけだから
耳とセンスは良かった人なんだろうな。
今日のBGM:「Gee, But I'm Lonesome」by Ron Holden
↑ブルース・ジョンストンの手による(恐らくピアノも彼)
メランコリックなバラード・ナンバー。
「Susie Jane」のB面としてシングル・カットもされた(1960年)。
↓ドナのレーベル・デザインはポニーテールの女の娘のシルエット。
映画『ラ・バンバ』に出て来るリッチー・ヴァレンスの彼女“ドナ”も
ポニーテールの可愛い娘だった。

