2013年12月20日

Someday At Christmas〈Part 3〉

昨日の続き》

駅に迎えに来てくれたKさんご夫妻は、
フレンドリーでとても優しそうだった。
ご自宅までの車中で早速ドレミファブックの話題になると、
Kさんから驚きの進展が…。

なんとネットのオークションで、
クリスマス別冊を2冊一緒に落札して入手したという。
かなりの高額で迷ったそうだが、
この機会をどうしても逃したくなかったと
Kさんは満足そうに答えた。

今回僕はレコードだけ聴けると思っていて、
もちろんそれだけでも十分に満足だったのだが、
まさか付属の絵本まで手に取って見られるとは…。
胸の鼓動がどんどん高まっていくのを感じた。

マンションの最上階のご自宅に案内されると、
壁の棚にはアナログ・レコードがビッシリ。
リビングとリスニング・ルームが一緒になった部屋は、
自分のような音楽好きにとってとても居心地が良い。

ご主人は50代で僕より一世代近く上だが、
驚くほど自分と音楽の趣味が似ていた。
ソウルやドゥ・ワップが一番好きだと仰っていたが、
オールディーズ、ボサノヴァ、映画音楽、イージーリスニング、
更にはギターポップ、ネオアコ、ナイアガラまで…。
まるで同世代の人と話しているような錯覚に陥るほど、
音楽趣向の精神年齢が若い。
(一番衝撃だったのはカメラ・オブスキュラの大ファンだと言われた時!)

更に若い頃はバイトでイラストを描いていたそうで、
将来の夢はジャケット・デザイナーになることだったと話してくれた。
だから『ジャケガイ』の本は自分のセンスにドンピシャだったと。
なるほど、音楽の趣味が似ている以前に
デザインとかアート系の出自が共通していたんですね。

話が弾んで打ち解けた頃、「では、そろそろ
目的のクリスマスのレコードを聴きましょうか」とご主人。
『DOREMIFA RECORDS』と印刷された青いジャケットを見た時、
ああこれだ!と思わず声を上げてしまう。
そしてA面の1曲目「ジングルベル」の鈴の音と
柔らかな女性コーラスが流れ始めた瞬間、
懐かしさで胸がいっぱいになった。
よく音楽はタイムカプセルというが、
まさしく5、6歳の頃の自分に一気にタイムスリップしてしまったのだ。

更にKさんが入手した絵本『ドレミファブック別冊 クリスマス特集』を
2冊ともテーブルに持ってきてくれた。
すごく状態が良くて値段が高かったのも分かる。
自分が持っていた方の1冊を開いてみると、
小さい頃に1ページ1ページ食い入るように見ていた
懐かしい挿絵が次から次へと目に飛び込んで来た。

もう目と耳の両方から懐かしさの強襲!
頂いたシャンパンのせいも相まって、少しクラクラしながら
40年振りに体験するクリスマスの音楽と物語を楽しんだ。
正直もっとじっくりと音楽と絵本に対峙したかったが、
レコードはあっと言う間に終わってしまった。


Doremifabook1.jpg

↑これが『ドレミファブック別冊 クリスマス特集』の2冊。


Doremifabook2.jpg

↑こちらが自分が小さい頃に持っていた方。


Doremifabook3.jpg

↑その中の見開きページ。レコードのB面に収録された
「ファミリー・クリスマス」という物語の挿絵が。
この挿絵もすっごく良く覚えてる!
(調べたら挿絵作家の矢車 凉という方の絵でした)


その後はKさんの美味しい手料理をごちそうになりながら、
音楽や映画やデザインや旅行や70年代のレコード屋のことやら、
とにかく様々な話題で盛り上がり(ほとんど音楽のことだったけど)、
気付くともうそろそろおいとまの時間。

絵本とレコードに後ろ髪を引かれながら帰り支度を始めると、
Kさんが「これ、持っていって下さい」と
『ドレミファブック』のレコードを差し出した。
「すみません。では、お借りしますね」と僕(やった!と心の中で叫ぶ)。
「差し上げます。2枚持っていてもしょうがないですから」とKさん。
「…え…」

そうか、実家から持ってきたレコードと
オークションで絵本と共に入手したレコードと、
Kさんの家にはレコードだけがダブって存在しているのだった。

実家で大切にしまっていたレコードを頂戴するのは
いささか心苦しいと思わないでもなかったが、
情けないことに自分の欲望の方が勝ってしまう。
「あ、ありがとうございます!!」と深々とお礼をして、
Kさんのご自宅を後にしたのだった。
もちろんまた会う約束をして。

実家に向かう電車の中で充実した1日を振り返る。
初めて会う、どこの馬の骨とも分からない自分に、
ここまでのことをして頂く理由が果たしてあったのだろうか。
1枚の古いクリスマス・レコードが繋いだ不思議な縁と、
シャンパンの酔いに気持ちを高ぶらせながら、
紙袋に入ったレコードを眺めた。

そしてもう一度、このレコードを
家でじっくりと聴くことができる喜びを噛み締めたのだった。

《明日に続く》


今日のBGM:「The Boy From New York City」by The Ad Libs

Kさんのご自宅にいる間、
ご主人のiTunesのシャッフルがずっと流れていたんだけど、
その選曲がいちいち自分のツボで。
エイプリル・ヤングとかスキーター・デイヴィスとか
アルマンド・トロヴァヨーリとかワンダーミンツとか。
その度に話題が流れている曲のことに変わって、例えば
「ビーチ・ボーイズで一番好きなのは“Kiss Me Baby”なんだ」とか
「アド・リブスの曲のドラムスはバーナード・パーディなんですよね」とか。
(↑曲はそのアド・リブスの1964年のヒット曲)


posted by Good Time Graphicker at 06:21| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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