「70's バイヴレーション」を見に行ってきた。
横須賀美術館には初めて行った。
横須賀駅の近くにあるのかと思ってたら、
三浦海岸の尖端の観光地、観音崎にあるんですね。
目の前に海が広がる素晴らしいロケーション。
こんなにも開放感のある美術館もそんなにないと思う。
ただしこの日は例の暴風雨が日本を直撃した日。
今にも泣き出しそうな曇天に、せっかくの絶景も台無しだった。
次回は絶対天気のいい日に来るぞと心に誓う。
美術館の中に入ると、吹き抜けが気持ちいいモダンな作りと、
地下の展示場の広さに驚いた。
こういうサブカルな企画展などは
どうせ規模が小さいのだろうと高を括っていたので、
しっかりと作ってあるパンフレットを受付で貰った時には
主催者側の“やる気”に少し気後れしてしまったほどだ。
まず当時の新聞が時間軸を逆にして展示してある。
その頃の社会情勢を認識しながら、
タイムトンネルを逆行して70年代に誘うというニクい構成だ。
展示場には、70年代の青年の部屋を再現したコーナーや、
アナログ・レコード・ジャケットを並べた部屋、
ヤマハのギター・SGシリーズを展示したコーナー、
当時の洋邦コンサートのチケットやチラシをまとめた一画、
矢吹申彦の原画展や、鋤田正義、井出情児などの写真展示など
見所がいっぱいあったが(途中、その日のトークゲストだった
なぎら健壱とすれ違ったりしながら)、一番興味深く見たのは
70'sポップカルチャー年表のコーナーだった。
天井まで届きそうな巨大なパネルに、
1970年から79年までを1年ごとに
その年を象徴するレコードやポスター、雑誌、広告などをまとめた、
いわば視覚のみで楽しむ巨大年表。
こうして1年ごとに順番に見て行くと、
日本の文化が急速に成熟していった70年代という時代の空気が
手に取るように分かって面白かった。
例えば1972年までと73年からは時代の印象がガラッと変わる。
それまでの政治の季節が終わりを告げ、アングラなイメージから
急にポップでカラフルな印刷物が多くなるのだ。
1977年辺りからも突然アメリカ西海岸の風が吹き始めたりして…。
(それ以降は自分の記憶と重なり始めるから、
逆に客観的には見られなくなったりする)
展示場の真ん中辺りに、
70年代の代表的な音楽雑誌やファッション雑誌が飾られた
「70年代資料館」という部屋があった。
ほとんどがガラスケースに入れられていたのだが、
一部のコーナーだけには裸の雑誌がたくさん置かれていて
自由に読めるようになっていた。
たまたま手に取った雑誌『GORO』の1974年7月号には、
「ワンステップフェスティバルの楽しみ方」なる特集が組まれていて、
会場となった福島県郡山市開成山公園の見取り図や、
参加ミュージシャンの紹介などがこと細やかに記されていた。
シュガー・ベイブやセンチメンタル・シティ・ロマンスについて書かれた、
“新しい時代を担う若きホープ!”というような熱い紹介記事に
その時代の眩しさみたいなものを感じて、
なぜだかちょっとだけ切なくなってしまった。
今日のBGM:「暖時」by センチメンタル・シティ・ロマンス
↑暖かくなるこの季節にいつも聴きたくなるセンチ1stアルバムの名曲。
↓もちろんこの印象的なアルバム・ジャケットも展示されていた。
個人的には70年代の日本のジャケの中でも特に好きな1枚。
構図が秀逸なこのイラストを描いた
中西信行というイラストレーターに昔から興味津々。
(なのだが今イチ経歴が分からない)

