『ミュージック・ポートレイト』という番組をご存知の方は
どのくらいいらっしゃるのだろうか。
「あなたの人生で大切な音楽を10曲選んで下さい」
という質問と共に展開されるトーク番組で、
2人のクリエイターがそれぞれ選んだ10曲を持ち寄って
今までの人生を振り返り、これからの人生をも語り合うという、
音楽好きにとっては無視できない内容。
かなり前、恐らくまだレギュラー化していなかった時に、
松任谷正隆氏と姜尚中氏がゲストだった回を偶然見て、
とても面白い番組だなと思った。
その後は全くチェックしていなかったが、
調べてみたらどうやら今年4月から正式にレギュラー番組として
スタートしていたみたい。
先週と今週の2回の放送では、
山本耀司×高橋幸宏という何とも興味深いゲストだった。
ファッション界と音楽界という違う世界で活躍していながら、
かなり近い感性でお互いをずっと意識していた2人。
実際に今までにコラボした仕事も多く、
同じような人生の浮き沈みも体験している。
2人が選んだ音楽は、
子供の頃に影響を受けたものとして
ヴェンチャーズなどカブった洋楽もあったが、
人生の後半に差し掛かった現在の、そしてこれからの人生に向けての選曲は
全く違うものになっていた。
山本耀司氏が最近心打たれた音楽として
長渕剛や中島みゆきの曲を挙げていたことにも意外な面白さがあったが、
幸宏氏が選んだ最後の3曲にとにかくシビレてしまった。
その3曲とは、
ランディ・ニューマン「I'll Be Home」
サイモン&ガーファンクル「America」
プロコル・ハルム「Pilgrim's Progress」
ランディ・ニューマンの「I'll Be Home」は
震災後の自分の心情に響く曲として、
サイモン&ガーファンクルの「America」は
世の女性に対して捧げる歌として、
そしてプロコル・ハルムの「Pilgrim's Progress」は
人生に幕を下ろす時に聴きたい曲として選んでいた。
この3曲はどれも本当にいい曲でありながら、
幸宏氏のちょっとした屈折とシャイネスと、
そして究極のロマンティシズムを見事に表していると思った。
好きな音楽とは、
その人そのものをこうも表すものなのだろうか
と、改めて驚いてしまう。
ちなみに次回のゲストは松田聖子と藤井隆。
こちらも必見ですな。
今日のBGM:「Pilgrim's Progress」by Procol Harum
↑名盤『A Salty Dog』のラスト・ナンバー。
キース・リードの歌詞は相変わらず難しくてよく分からないけど、
曲自体は本当に素晴らしいと思う。
(実はプロコル・ハルムのファン歴、長いんです)

