「Cast Your Fate To The Wind」のヴォーカル・ヴァージョンを
最初に発表したのは誰か?という謎について書いたが、
この件についてHi-Fiの松永さんから貴重な情報を頂いた。
何とメル・トーメが
1963年3月にアトランティックからリリースしたシングル盤が
存在するという。
レコーディングが行われたのは1963年2月。
(そのレコーディング・データが掲載されたサイト)
オリジナルのインストゥルメンタル・ヴァージョンが収録された
ヴィンス・ガラルディのアルバム『Jazz Impressions Of Black Orpheus』が
リリースされたのは前年の62年春頃だが、
そこからのシングル「Cast Your Fate To The Wind」がヒットしたのは
62年暮れから63年初頭にかけてからだから、
メル・トーメの録音はオリジナルのインスト版がヒットした
直後ということになる。
メル・トーメの「Cast Your Fate To The Wind」は、
アルバム『Comin' Home Baby』のセッションで録音されたが
アルバムには収録されずにシングルのみでのリリースとなった。
Hi-Fi Record Storeには以前そのシングル盤が入荷したこともあるらしい。
↑これがその7inch(Atlantic 2183)。
音はこちらのYouTubeから。
(女性コーラスが可愛くてなかなか良いヴァージョン!)
ちなみに
最近はビルボード誌のバック・ナンバーが全てネット上で見られるという、
僕らのようなオールド・ポップス・ファンには夢のような時代になったが、
そのビルボード誌の1963年3月30日の紙面にも、
このメル・トーメの新作アルバム『Comin' Home Baby』と
シングル「Cast Your Fate To The Wind」のことが
しっかりと紹介されていた。
そんな訳で、
「Cast Your Fate To The Wind」を最初にヴォーカル化したのは
メル・トーメ説が濃厚ということのご報告でした。
(松永さん、有難うございました&シングル入荷したらよろしくです)
今日のBGM:「The Gift(Recado Bossa Nova)」by Eydie Gorme
↑メル・トーメのシングル「Cast Your Fate To The Wind」のB面は
「The Gift(Recado Bossa Nova)」なのだが、この曲と言えば
個人的にはイーディ・ゴーメのヴァージョンを思い出してしまう。
(確か80年代の終わり頃にタバコのCMに使われたと記憶している)
調べてみると、イーディ・ゴーメの「Blame It On The Bossa Nova」も
1963年1月に大ヒットしているのだ。
メル・トーメの「Cast Your Fate To The Wind」と
「The Gift(Recado Bossa Nova)」のカップリング・シングルは、
このイーディ・ゴーメの大ヒットを受けて
ボサノヴァ・ブームを見逃すまいとリリースされたのではないかと思えてくる。

