妖艶かつ美麗な女性モデルを扱ったものが非常に多いが、
そういったレコードを多く集めていると、
「あれ、このジャケどこかで見たことあるな」という
デジャヴ感覚に襲われることがたまにある。
偶然似ているというのではなく、
例えばあるコンポーザーのレコードのジャケットが、
別の演奏家のジャケットに使われている写真と同じロケやセットであったり、
アングルやポーズやデザインの構成をちょこっと変えただけ、
なんて場合があったりするのだ。
こういったフォト・セッションの「使い回し」は
同じレーベル内(または同系列のレーベル内)で見つかることがほとんどだ。
レコードというメディアが最盛期だった頃は、
月に大量に制作・リリースされていたわけだから、
アートワークの経費を削減する狙いが当然あったと思われる。
恐らくだが、あるフォト・セッションで大量に撮影した写真を
デザイン室にストックしておいて、
似たような方向性の音楽家のジャケットを作る際に
そこから適当に選んだりしたのではないか。
『ジャケガイノススメ』という本を作った時に、
自分がたまたま持っていた「使い回しジャケ」をあえて2組並べて掲載して、
レコード文化の面白さを控えめにアピールしてみたりした。
例えばこんなのとか↓
こんなの↓
その後「使い回しジャケ」は全く発見できなかったのだが、
先日のブログでレス&ラリー・エルガートのジャケットを紹介したら、
同じ鎌倉に住むポップス・リスナーの大先輩Hさんから
「これ、同じフォト・セッションですよね」と、
あるレコードの添付画像が届いた。
レス&ラリー・エルガートのジャケット↓
Hさんが送ってくれたチャーリー・バードとアルデマロ・ロメロのジャケ↓
おおっ、確かに水着姿の女性がパレオを投げ捨てて、
波打ち際から足首まで海に浸かって、髪を色っぽくかき上げれば…。
レーベルも同じコロンビアだし、
間違いなく同じフォト・セッションでしょうね。
(チャーリー・バードの方が遅く撮影したのか、
陽が沈みかけて暗くなっちゃってる)
Hさん、貴重なご報告有難うございました。
これからも「使い回しジャケ捜査隊」は
地道に探索していきたいと思っています。
今日のBGM:「Moliendo Cafe」by Charlie Byrd & Aldemaro Romero
↑アメリカのギタリスト、チャーリー・バードと
ベネズエラの作曲家アルデマロ・ロメロとの共演アルバムから、
バードの超絶技巧による「コーヒー・ルンバ」を。

