ロック登場以前のレコード業界で活躍したグラフィック・デザイナー、
アレックス・スタインワイス。
本ブログの内容に反応してメールをくれる方は
基本的にほとんどいないのだが、
このアレックス・スタインワイスには何と3人も反応して頂いた。
こんなにマニアックな話題なのにビックリ。
ロック時代のデザイナーやイラストレーターに関しては
研究も進んでいてファンも多いと思うが、
それ以前の1930年代〜50年代に活躍したアーティストとなると
日本ではほとんど知られていないから、
話題として新鮮だったのかも…と勝手に分析している。
さて、そのアレックス・スタインワイスの作品集が
先日アマゾンから届いた。
12インチのレコード・サイズくらいの大きな版型と
圧倒的な作品数(400ページ以上!)に、
時間を忘れてページを捲り続ける。
こんなにも趣味と実益を兼ねた本が今までにあっただろうか。
まさに一生の宝物。
スタインワイスは1940年代、コロンビア社で
数枚のSP盤を綴じた本のようなレコード・ブックを開発し、
数多く出版している。
まず表紙を捲るとそのシリーズが紹介されていた。
(例えばこういうやつ↓)
コロンビアの他のレーベルではデッカやコーラル、
レコード・ジャケット以外ではレター・セットや雑誌の表紙、
お酒のパッケージ、何と陶器のデザインまで
手がけていることに驚いた。
更には『007 カジノロワイヤル』や『シャレード』といった
ハリウッド映画のポスター・デザインの習作まで載っていて、
映画の世界にも活躍の場を広げようとしていた野心も感じられて
実に興味深い。
この作品集がすごいのは、図版の美しさ。
版元のタッシェンには印刷がよくないものもたまにあるが、
この本は発色も綺麗だし、何より半世紀以上も前のジャケットなのに
汚れやキズひとつないのが素晴らしい。
この膨大な図版全てを1枚1枚フォトショップで補正したとなると、
そのエネルギーと時間を考えるだけで空恐ろしくなるが、
もしかしたらまだご存命(94歳!)のスタインワイス本人が、
全ての自分の作品のサンプル盤を長年大切に保管していたのかな
などと想像してみたり。
(以下、全て彼のアート・ワークによるジャケット)
今日のBGM:「Tumbling Tumbleweeds」by Sons Of The Pioneers
↑1930〜40年代、デッカで活躍したコーラス・グループ、
サンズ・オブ・ザ・パイオニアズの代表曲。ポップス・ファンには
カート・ベッチャーのカヴァーでもお馴染みですね。
この曲が入っているカントリー&ウェスタンのオムニバス盤がこれ↓
ジーンズとウェスタン・ブーツで「4」という数字を表す
スタインワイスのデザイン・センスに脱帽!

