南カリフォルニアのカルチャー全体を俯瞰した本のアートワークなのだが、
この本が面白くてつい読み込んでしまう。
音楽以外のLAカルチャー、
例えば建築、アート、映画などにも触れられており、
特にグラフィック・デザインなんかは
サーフィン/ホットロッド・ミュージックの始まりと
深い関係があったりして実に興味深い。
と言えばもちろんリック・グリフィンのことなのだが、
彼はもともと海をこよなく愛すサーファーで、
サーフィンや車関係の雑誌でイラストや図面などを描いていた人。
例えばこの↓ジャック・マーシャルが仕掛けた
サーフ・ガレージ・コンピ(1963年)のジャケットのイラストも彼。
その後時代はサイケ・エラになり、
フィルモア・ライヴのポスターやグレイトフル・デッドのアートワークなどで
一躍有名になったグリフィンだが、イーグルスやジャクソン・ブラウンの
ジャケットも手がけていることを考えると、
リック・グリフィンというアーティストを軸にして
ウエストコーストのロック史がそのまま語れてしまうようで面白い。
(そこら辺のことは先輩デザイナー、奥山氏のサイトに詳しい)
個人的にはサイケの時代がどうも苦手なので、
一般的なグリフィンのイメージになってる
アールヌーボー風のオドロオドロしいイラストには
そんなに食指は動かないのだが、
初期の(マーフィーに代表される)可愛いサーフィン系イラストは
とても好きだ。
ちなみにグリフィンは天才的なカリグラファーでもあって、
昨日のブログで書いたキャメロン・クロウが活躍した
シスコのロック雑誌『ローリング・ストーン』の創刊時のロゴも
彼が手がけたんだとか。
これだけの仕事を残して、
47歳の時にバイク事故であっさり死んじゃうんだから
つくづくロックな人だった。
今日のBGM:「Before The Deluge」by Jackson Browne
名盤『Late For The Sky』の書体デザインもグリフィン。
ルネ・マグリットの世界とサイケ風味の文字が不思議な融合を見せてる。
曲はこのアルバムで一番好きなナンバー。
そうそうアサイラム繋がりで思い出したけど、
ネッド・ドヒニーの祖父のエドワード・ドヒニーって、
映画『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のモデルとなった
石油王だということも、今回のその本で知った。
あのダニエル・デイ=ルイス演じる偏屈なオッサンが、
爽やかなネッド・ドヒニーのお爺さんだったなんて!

