『コンプリート・スタックス・ヴォルト・シングルズ 1959-1968』を
聴きながら仕事している。
もともとは1991年に編纂され、
それ以後も再販する度に瞬く間に売り切れてしまうという
伝説の9枚組ボックス・セットが、先日SHM-CDでめでたく再リリースとなった。
今回は特別にブックレットを付けることになり、
ワーナーの宮治さんからその制作を依頼されたのだ。
オール・カラー28ページ、
185mm×185mmのシングル盤サイズのブックレットには、
オリジナル・シングル盤、LPジャケットはもちろん、
当時のポスター、シート・ミュージック、ファンジンの表紙まで
これでもかとレア画像をぶち込んだ。
↑ブックレットの表紙。もともとは「The Big Sound of '67」という
スタックス/ヴォルトの宣伝用パンフレットの表紙だった。
ブッカー・T.&MG'sのあの玉ねぎジャケや、
サム&デイヴのあの亀ジャケや、
エディ・フロイドのあの"きこり"ジャケなどの有名なものはもちろん、
ルーファス・トーマスやマーキーズの当時の日本盤シングル(!)や、
マッド・ラッズやバーケイズの時代を感じるイラスト・ジャケ、
スタックスの最高にイカすレーベル・コンピのジャケなど、
見たこともない貴重な画像にクラクラしながら
楽しく作業をさせて頂いた。
音の方は説明いらないでしょう。
スタックス/ヴォルトから1959年から68年の間にリリースされた
全206枚のシングルを年代順に聴けるとあって、
ソウル・ミュージックの歴史を一から勉強し直すつもりで
毎日1枚ずつ大事に聴いていこうと思っている。
ちなみに今日聴いたのは1枚目。
スタックスの前身、サテライトからリリースされた
ルーファス&カーラ・トーマスの親子デュオや、
マーヴェレッツみたいな黒人女性グループ、トネッツ、
都会的でポップなドゥ・ワップ・グループ、デル・リオスあたりが
気に入ったけど、やっぱり一番印象的だったのがマーキーズだ。
「Last Night」「Foxy」「Pop-Eye Stroll」といった
荒削りでイナタいインスト・ナンバーの数々には
何とも抗し難い魅力がある。
このカッコいいんだかダサいんだか分からない音楽に、
懐かしさみたいなものを感じたのはなぜだろうと思っていたら、
小西康陽氏がディスクガイド本『マーシャル・マクルーハン広告代理店』で
マーキーズとマンフレッド・マンの相似性を指摘していて
なるほどと思った。
マンフレッド・マンなどのイギリスのグループが
この頃のマーキーズの音を散々聴いて参考にしていたと仮定すれば、
自分が10代、20代の頃にどっぷりと浸っていた60年代の英国グループの音楽を、
マーキーズを聴いて逆に思い出して懐かしく感じたのも理解できる。
R&B、ソウル・ミュージックは自分にとっては未開のジャンルだから、
まだまだこういった発見がありそう。
今後もこのボックス・セットを聴き込んで、
自分なりの面白い発見があったら逐次書いていきたい。
今日のBGM:「Last Night」by The Mar-Keys
↑ブッカー・T.&MG'sの母体となったスタックスの看板グループが
1961年に放ったデビュー・ヒット(全米3位)。
スティーヴ・クロッパーはこの曲ではピアノ担当なんだとか。

