2011年02月08日

Linda

次回の仕事の予習として
ある文献を読んでいたら、
面白い事実に出会ってしまった。

ジャン&ディーンに「Linda」という曲がある。
リバティに移籍して5枚目のシングルで、
1963年に全米28位まで上昇している。

ドゥ・ワップ調のコーラスと、
前年にヒットしたフォー・シーズンズの「Sherry」を
彷彿とさせるバック・トラックが何とも微笑ましい曲で、
次のシングル「Surf City」と比べるとやや古臭く聴こえるナンバーだが、
個人的にはそのオールド・タイムな感じが好きで
昔からよく口ずさんでいた。

古臭く聴こえるのは当たり前で、
実はこの曲、ジャック・ローレンスという作曲家が
1946年に作った古いスタンダード・ナンバーなのだ。

バンドリーダー、レイ・ノーブルとヴォーカリストのバディ・クラークが
コロンビアからリリースしたヴァージョンがすぐに大ヒットし、
チャートのトップになってこの曲は世に知れ渡った。

ほぼ同時期に
チャーリー・スピヴァク楽団のRCA盤も全米5位になったり、
10年後の1956年にはドゥ・ワップ・グループのザ・ソフォモアズが
吹き込んだ
りもしている。

面白いのはこの曲が生まれた経緯だ。
作曲家のジャック・ローレンスは、
当時からNYのショービジネス界で有名だった敏腕弁護士
リー・イーストマンに支払う弁護士料を捻出するために
この曲を書いたというのだ。

そう、「Linda」とは
イーストマンの(当時)5歳になる娘リンダのことで、
彼女に捧げられた曲だったのだ。

もちろんこのリンダとは
後にポール・マッカートニー夫人となる
故リンダ・マッカートニーのこと。

ちなみにジャン&ディーン版「Linda」がヒットしていた頃には
リンダ・イーストマンは21歳になっていて、
ビーチ・ボーイズの大ファンだった。
当時通っていたアリゾナ大学にビーチ・ボーイズがライヴで来た時に
メンバーは彼女の隣のアパートに宿をとっていて、
両者は何度か顔を合わせたこともあるという。

ポール・マッカートニーが『Pet Sounds』を聴いて
ビーチ・ボーイズにノックアウトされる前に、
未来の嫁リンダはとっくにジャン&ディーンやビーチ・ボーイズと
繋がっていたというわけ。

アル・クーパーの「Jolie」が
クインシー・ジョーンズの娘ジョリーに捧げられた曲だったり、
ギルバート・オサリヴァンの「Clair」が
ゴードン・ミルズの娘クレアに捧げられた曲だったりするのと同じように、
ポップス界における"娘に捧げる系"の名曲をもう1曲発見!
っていう面白い(?)話でした。


今日のBGM:「Linda」by Jan & Dean

↑もうこの曲を聴く度に
リンダ・マッカートニーの顔が浮かんできてしまう。
(大人になった顔しか知らないけど)


Jan & Dean.jpg


posted by Good Time Graphicker at 05:14| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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