何しろ「ミュージアム通り」というストリートもあるくらい、
やたらと美術館が多い街なのだ。
色々な美術館に入って思ったことは、
NY市民が本当にアートを愛しているなと。
（もちろん海外からの観光客も多かったが）
日本みたいに
話題になっている企画展にこれ見よがしに押し掛けるのではなくて、
散歩の途中にさくっと美術館に入るみたいな、
日常にアートがさりげなく溶け込んでいるのだ。
その割に皆すごく真剣に観てるし、
子供やファミリーもやたらと多い。
日本でファインアートをやっている方々は、
子供の頃からアートに慣れ親しんだこういう人達と
世界で勝負しなくちゃならないのか…と、
ちょっとした徒労感を感じてしまった。
（自分だってデザイナーとしてその世界の末端にいるわけだけど）
本当に代表的な所しか行ってないですが、
以下、訪れた美術館の感想など。
●ホイットニー美術館
マジソン・アヴェニューにある、
重力を無視したような造りのイカした美術館。
台形の窓の造形がやけに斬新だった。
ここでは企画展「エドワード・ホッパーと彼の時代」をやっていて
昔から好きだったホッパーの原画を大量に観て興奮する。
この人、あっさりと描いているようで実は驚異的なデッサン力！
デザイナーとしては「Le Bistro Or The Wine Shop」という絵の
画面構成に衝撃を受けた。
↑逆階段状の面白い造りのホイットニー美術館。
（12月22日、マジソンAVにて）
●MoMA
ご存知、みんな大好きニューヨーク近代美術館。
ピカソ、ゴッホ、ルソー、モンドリアンなどの
教科書や図鑑などで見慣れている有名作品の原画がこれでもかと展示。
建築、商品パッケージ、写真、映像まで収集されていて
1、2時間じゃ全然観終わらない。
やはりグラフィック・デザイナーとしては
ポップアートのコーナーが印象に残った。
あとアンドリュー・ワイエスの「Christina's World」を
生で観れたことも嬉しかったなぁ。
↑MoMAの中は吹き抜けになっていて気持ちのいい空間だった。
これは階上から2階の展示を見下ろした図。
アート作品に多く触れると、
こうした一瞬カッコ良さげな写真も撮りたくなるというもの。
（12月24日、ミッドタウンのMoMAにて）
●グッゲンハイム美術館
この日のブログでも書いた、
フランク・ロイド・ライトが設計した超個性的な美術館。
F・L・ライト好きとしてはどうしても訪れておきたかった。
これはもう美術館自体がアートだね。
↑シンプルなのか複雑なのかよく分からない渦巻き状の建造物。
冬の午後の日差しが形作る陰影がとても美しかった。
（12月24日、セントラル・パークの脇を走るミュージアム・マイルにて）
↑中はこんな感じ。意外に有機的で、まるで貝殻の中にいるみたい。
●メトロポリタン美術館
世界最大級の美術館。
美術館巡りの日の最後に訪れたので疲れもあったのだけど、
あまりにも膨大な面積と作品数に圧倒されて
フラフラとさまようだけで閉館時間となってしまう。
なぜか子供の頃から好きだった
マネの「笛を吹く少年」をどうしても観たかったけど探し切れず。
ロンドンの大英博物館、パリのルーヴル美術館に行った時も
そうだったけど、丸々1週間通い詰めたい衝動にかられた。
閉館を告げる係員にせかされながらチラッとだけ見た、
館内にある巨大なクリスマス・ツリーにも感動した。
↑メトロポリタン美術館には楽器部門の部屋もあって
古代から現代までの様々な楽器が展示されていた。
何とリンゴ・スターのスネアまで！
（ビートルズの使用楽器はすでに20世紀の美術遺産ってこと!?）
↑クリスマス・イヴの夕闇に染まる美術館の正面玄関。
（12月24日、同じくミュージアム・マイルにて）
今日のBGM：「Rene And Georgette Magritte With Their Dog After The War」by Paul Simon
↑ポール・サイモンのこの歌のタイトルにも登場する
ルネ・マグリットの作品もMoMAでたくさん観ることができた。
NYでマグリット…で、すぐにこの曲のフレーズが浮かんできて
観ている間中、頭から離れなかった。
1983年のアルバム『Hearts And Bones』から。
