2010年11月23日

The Artie Schroeck Implosion

先日、音楽ファンの大先輩Brian. W氏から
「こんなレコードを買ったよ。知ってる?」
とメールを頂いた。


The Artie Schroeck Implosion.jpg


アーティ・シュロック・インプロージョンの
『A Spoonful Of Lovin'』というアルバム。

この洒落たタイトルでお気付きだと思うが、
ラヴィン・スプーンフルの曲のみをインスト化した
ラウンジかつモンドな1枚だ。

メールには「存在は知ってたけど持ってません」と返事したのだが、
今日、自分のiPodから「Six O'clock」の変テコな
インスト・カヴァーが流れてきて「おや?」と思った。

何だレコード持ってたのか。
いや、iTunesには2曲だけACCファイルで入ってたから
何らかのコンピCDから入れたのだろう。
調べてみたら、前に買ったお気に入りの
ドイツ編集によるソフトロック・コンピ
『The Get Easy! Sunshine Pop Collection』に
「Do You Believe In Magic」と「Six O'clock」の2曲だけ
入っていたのだった。

この『The Get Easy! Sunshine Pop Collection』
どれだけ素晴らしいコンピかという話は別の機会に譲るとして、
今回気になって調べてみたのは、
このレコードの主役、アーティ・シュロックという人。

ライオネル・ハンプトンのグループのピアニストだったりして、
もともとは東海岸で活躍したジャズマンだったらしい。
60年代中頃からフォー・シーズンズ、ラヴィン・スプーンフル、
ニール・ダイアモンド等のアレンジ仕事で頭角を現し、
ライザ・ミネリ、フランク・シナトラ、ペトゥラ・クラーク、
バリー・マニロウなどに多くのヒット曲も書いているとのこと。

なるほど。
それなりの実績がなければ
自分の名を冠にしたアルバムなど出せないってことですな。

驚いたのは、
フランンキー・ヴァリの大名曲「Can't Take My Eyes Off You」を
ボブ・ゴーディオと共にアレンジをしたのがこの人だったという事実。

長いヒット・ポップスの歴史の中で
アレンジという側面に焦点を絞った場合、
この「Can't Take My Eyes Off You」こそが
究極の1曲になるのではないか
(数あるカヴァーじゃなくてフランンキー・ヴァリのオリジナルがですよ!)
とずーっと思い続けてきた自分にとって、
この遅すぎる新発見はちょっとした衝撃だった。

ちなみにHi-Fi Record Storeのページでは、
アーティ・シュロックがアーティ&リンダというデュオ名義で
60年代前半にコロンビアからリリースした7inchを発見。
その時のアレンジャーがチャーリー・カレロだったりして、
かなり前からフォー・シーズンズ周辺にいた人なのが分かる。

あとラヴィン・スプーンフルの「Summer In The City」の
あの印象的な電気オルガンを弾いているのもこの人だったとか、
アーティ・シュロックという人物、
まだまだ調べてみると面白そう。

たった1枚のレコードから
好奇心が溢れ出してきた夜。
だからポップス・ファンはやめられない。


今日のBGM:「I've Got You Under My Skin」by The Four Seasons

↑コール・ポーターによるスタンダード・ナンバー。
自分が持っている数あるこの曲のカヴァーの中で、
フォー・シーズンズのヴァージョンの尋常じゃなくドラマティックな
アレンジが昔から大好きだった(特にエンディング)。
そしたら何と、この曲のアレンジもアーティ・シュロックだったのだ。

高校時代に買ったフォー・シーズンズの2枚組ベスト盤
『The Four Seasons Story』(国内盤)の八木誠氏によるこの曲の解説には、
ちゃんと「アーティ・シロックのアレンジ」の一言が。
さすがに10代の時には
無名のアレンジャーの名前まで気にかけなかったなぁ。


The Four Seasons Story.jpg


posted by Good Time Graphicker at 05:32| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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