先輩デザイナー、奥山さんのブログでフォローして頂いた。
ヒプノシスのスタッフが何人いたのか分からないと書いたが、
奥山さんが持っている本には
"Company"として27人も紹介しているそうだ。
やっぱり結構いたんですね。
奥山さんによれば、その中でも重要人物は
イラストレーターのコリン・エルジー、
イラストレーター兼デザイナーのジョージ・ハーディ、
デザイナーのジェフ・ハルピンの3人だそうだ。
名前は知らなかったけど
ジョージ・ハーディの幾何学的なイラストは
昔から気になっていた。
10ccの内袋には必ずちょっとしたイラストが載っていて、
シュールさとポップさが同居したテイストが大好きだった。
それを描いたのがジョージ・ハーディらしい。
タイポグラフィなどにもセンスを発揮した人で、
有名なウイングスの『Venus And Mars』のタイトルも彼。
↓例えばこういう作風。
↓もはや発明と言ってもいい素晴らしいフォント。
イラストレーターのコリン・エルジーも気になって調べてみたら、
何と自分がヒプノシスで一番好きなジャケットである
ウィリアム・ライオール『Solo Casting』の
"眠りの精"の花を描いた人だった。
このジャケット(と内容)はもう本当に大好きで、
あまりにも好き過ぎて
その昔ストレンジ・デイズ監修でニッチポップのコンピCDの
アートワークをやらせて頂いた時に、
かなり露骨なオマージュを捧げたことがある。
それがこれ↓
ストレンジ・デイズが監修ということで
とんでもなくブリティッシュでマニアックな選曲になるだろうと予想して、
自分の好きな英国音楽のアートワークを全部ぶち込んでみた。
(女の娘はスタックリッジの『Mr. Mick』だし、
ヘッドフォン姿はデヴィッド・ダンダスだし、
背景はバグルスの『Adventures In Modern Recording』、
それに"眠りの精"の花を散らして、
タイトルはもちろん"金星&火星"書体。
「頂くならネタは複数で」は大滝さんから教わったことのひとつ!)
選曲担当の岩本晃市郎氏の奮闘にも拘らず、
権利関係がかなり難航して結局蓋を開けてみたら
マシュマカーンの「As The Years Go By(「霧の中の二人」ね)」や
ジャニス・イアンの「At Seventeen」など
そんなにニッチな選曲じゃなくなっちゃった。
(それでもザ・ムーヴとかパイロットとかプリティ・シングスとか、
普通のコンピにはまず入らない曲も入ってる)
このジャケットを制作している時は、
(あまり似させないでねとヒヤヒヤしている岩本さんを横目に)
ヒプノシスへの愛を思いっきりぶちまけてやろうと、
一生懸命"眠りの精"の花を描いたのを覚えてる。
(こちらに愛があればパクリと騒がれてもいいやと思ってた。
いや、むしろパクリだと気付いて欲しかった)
そんな英国ポップス愛・爆発で完成させたジャケットだったが、
別の仕事で知り合ったビクターの女性社員が出来上がったCDを見て
「アニメとか好きなんですか?」の一言…。
ヒプノシスとか全く関係ない世界の人が見たら
ただの可愛い女の娘が描かれているだけのイラスト・ジャケなわけで、
アニメ的だと思われても仕方がないのだと
その言葉で初めて気付いた。
この時ほど
マニアックで自己満足的なこだわりを、
一般的に「良い」とされる表現にまで持っていく難しさを
痛感したことはなかった。
今日のBGM:「Us」by William Lyall
↑パイロット脱退後にリリースした
ウィリアム・ライオールのソロ・アルバム『Solo Casting』(1976年)から。
初期パイロットのちょっと変なところは全部この人のセンスだった。
「Maniac」なんて曲も入ってたりして、もう全曲最高!
昔、キリンジがデビューした頃、
「ぴあ」の連載で2人がこのアルバムを紹介してて
「こやつら、やるなぁ」と注目したきっかけになった。

