2010年07月29日

Daydream

昨日、久々に都心に出る電車の中で聴いたアルバムが
南佳孝の『Daydream』。


Daydream.jpg


あるアーティストとの出会いとなったアルバムが、
そのアーティストの全作品の中で一番好きになるということは
よくある話だと思う。

南佳孝の作品の中で
僕が最初に聴いたのがこのアルバムだった。
なぜなら1983年当時、本作が最新作だったから。
故に今でも強烈なインパクトを残す、
大好きな作品。

そういった場合、
初めて見たものを親と思うみたいなことで、
世間の評価や評論家の意見などは全く意味をなさなくなる。
音楽は、だから「いつ聴くか」「どこから入るか」が
すごく重要なのだ。

佳孝さんの作品の中で
一般的に評価が高いアルバムと言えば、
通常『South Of The Border』か
『Seventh Avenue South』あたりになるんじゃないかな。

少なくとも
この『Daydream』が一番!という人は
あまりいないと思う。

全て、井上鑑によるドライで硬質なアレンジ。
ワールド・ミュージック・ブームを視野に入れた
ネイティヴなリズムやサウンドを
シンセで嫌味なく表現している。

その質感が、
70年代の坂本龍一のアレンジとはまた違った印象を作り出していて、
80年代の新しい夏のイメージを
提案している気がする。

なんつって。
偉そうに評論めいたことを書いてしまったが、
当時高校に入ったばかりの僕は
うだるような暑さの自分の部屋の中で、
佳孝さんのダンディな歌世界に入り込みながら
「大人の男だなー。いつかこんな男になれるのかなー」
と、ボンクラな希望や妄想を抱いていたことを思い出す。

ところでジャケットの絵、
当時から何を描いているのかずっと謎だったのだが、
最近になってフランク・ロイド・ライトが設計した
N.Y.のソロモン・R・グッゲンハイム美術館だということに気付いた。
(収録曲の中に「サマー・ミュージアム」という曲がある)

一番好きなアルバムとか言っておいて、
気付くの遅すぎ。


今日のBGM:「曠野へ」by 南佳孝

「曠野で暮らす男にはやさしさはいらないよ。
 固いベッドとバーボンが1日を忘れさせる。
 ...俺はもう孤独さえ味方にした」

↑当時この歌詞にシビれた。(作詞は松本隆)
いつかアメリカの田舎を旅した時に聴きたい。バーボン飲めないけど。


posted by Good Time Graphicker at 04:21| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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