10年来の音楽仲間、Mさんに誘われて
藤沢のバーCane'sにレコードを廻しに行く。
ポール・マッカートニーの誕生日にちなんで
ビートルズ関係の曲を、という依頼だったので
カヴァー曲を有名無名混ぜ合わせてかけた。
ワールドカップの日本戦の夜に、
ポールの誕生日を祝うために集まった
ここにいるお客さんは、
なんて奇特で素敵な人達なんだろう。
自分のかけた曲は置いとくとして
Mさんの選曲が素晴らし過ぎた。
エミット・ローズやダンカン・ブラウン、
ジェリー・ラファティ、原田真二など、
ポールに影響された古今東西のシンガー・ソングライター達。
中でも
一番驚いたのがビリー・ニコルスだった。
ビリー・ニコルスといえば、
イミディエイトからの1stアルバム『Would You Believe』が
「『Pet Sounds』のイギリスからの回答」として
ポップス・ファンには有名だけれど、
それ以外のアルバムはほとんど知られていない。
Mさんがかけたのは、
1974年にGMというレーベルからリリースされた
2ndアルバム『Love Songs』だった。
(僕はこのアルバムの存在を全く知らなかった)
ポールがソロ初期に書きそうな
憂いを帯びた湿った英国メロディと、
かすかにスワンプ気味のシンプルなサウンド。
バッド・フィンガーにも通じる
パワー・ポップ的な聴きやすさもあって、
これがあの『Would You Believe』のビリー・ニコルス?とビックリ。
ロン・ウッドやピート・タウンゼンドが参加しているあたり、
デビュー作のコネクションが続いているのが分かる。
それにしても
1stではビーチ・ボーイズ、
2ndではビートルズなんて、
ビリー・ニコルスはなんて素直で贅沢な
ポップス野郎なんだろう。
ちなみにこのアルバムの中古の相場価格を聞いたら、
「結構するよ」とMさん。
やっぱりね。
また1枚、欲しいレコードが増えてしまった。
今日のBGM:「Feeling Easy」by Billy Nicholls
↑1st『Would You Believe』に収録の
ストリングスやコーラスが煌びやかなサンシャイン・ポップ。
イギリス産ソフト・ロックとしてはやっぱり出色の出来。

