昔観て、
もう一回どうしても観直してみたい映画というものが何本かある。
その内の1本が
マイケル・サーン監督の『ジョアンナ』(英1968年)という映画。
1993年にリヴァイヴァル上映された時に映画館に観に行って、
その過激な内容やカラフルな映像美に衝撃を受けて以来、
再度観たいとずーっと思っているのだが
なぜか今まで全くソフト化されていない。
美術学校に通う若い女の子ジョアンナが
様々な人と出会いながら自由に生きていく様を描いた青春映画だが、
何しろ時代がアメリカではヒッピー、
イギリスではスウィンギン・ロンドンの真っただ中である。
ヌード・シーンや暴力シーンなど過激な要素を含みながらも、
全編を彩る華やかな60'sファッションやラストのミュージカル・シーンが導く
高揚感、至福感に鳥肌が立ったのを覚えている。
また、美術学生という当時の自分と同じ境遇からくる親近感だろうか、
自由で個人主義で自立した生き方を実践するこのジョアンナという
キャラクターがとても魅力的に写ったことも忘れられない。
そのジョアンナを演じたのが当時20歳のジェヌヴィエーヴ・ウェイトで、
その可愛さにも完全にノックアウトされた。
ちなみに彼女の映画主演はこの1本のみで、
後にママス&パパスのジョン・フィリップスと結婚し、
(ママパパのラスト・アルバム『People Like Us』には、ジョンが
ジェヌヴィエーヴに捧げた「Lady Genevieve」という曲が入っている!)
74年にはジョンのプロデュースで『Romance Is On The Rise』という
実にキュートなアルバムをリリースしている。
そのジェヌヴィエーヴの演技は下手だし、
真剣に追いかけるほどのストーリーも大してない映画だが、
監督のマイケル・サーンを始め、
まだ若いながらも異様な存在感を醸し出しているドナルド・サザーランドや、
音楽を担当した奇才ロッド・マッケンなど、
どうにもカルトでマニアなキャストが揃ってしまった感のある
個人的に忘れられない映画なのだ。
いつかジョアンナに再会できる日は来るのだろうか。
今日のBGM:「Joanna」by Scott Walker
↑トニー・ハッチ&ジャッキー・トレント作の
スコット・ウォーカー渾身のバラード。
実は今回『ジョアンナ』のことを書こうと思ったのは、
昨日の『サンデー・ソングブック』でこの曲がかかったからだ。
映画『ジョアンナ』の主題歌はスコット・ウォーカーだったと覚えていたので、
今日までこの曲が使われていたとばかり思っていたのだが、
調べてみると映画に使われたのはロッド・マッケンが作詞・作曲した
「When Joanna Loved Me」という曲だった。

