参加してきてからというもの、
ビリー・ジョエルのアルバムばかり聴いている。
久々に『An Innocent Man』を聴いたら
もうめちゃめちゃ楽しくて、
毎日夢中になって音楽をむさぼり聴いていた
中学生の頃に戻ってしまった。
このアルバムのライナーには
ビリー本人による解説が付いていて、
それぞれの曲のネタがあっけらかんとバラされている。
例えば…
「Easy Money」→ジェイムズ・ブラウンのソウル・レヴュー
「An Innocent Man」→ベン・E・キング「Spanish Harlem」
「The Longest Time」→ザ・タイムス「So Much In Love」
「This Night」→リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズ
「Tell Her About It」→ザ・シュープリームス or
マーサ&ザ・ヴァンデラス
「Uptown Girl」→ザ・フォー・シーズンズ
「Careless Talk」→サム・クック「Chain Gang」等々。
このヒネリのない大ネタ使いのせいで、
ビリーがマニアから甘く見られているという意見もあるようだが、
当時15歳の中坊にとっては
この屈託のない分かりやすさが有り難かった。
このアルバムの楽しさの根源を辿るべく、
アメリカン・ポップスの泥沼(?)にズブズブと足を踏み入れたのだから、
本作はまさに自分の原点と言ってもいい。
ところで、
昔からB面の4曲目「Leave A Tender Moment Alone」が大好きで、
トゥーツ・シールマンスの切ないハーモニカがフェイドアウトする度に
この曲が最後だったらいいのにといつも思っていた。
ところがB5には、あまりラストにはふさわしくない曲調の
「Keeping The Faith」という曲が収まっている。
しかし今回「Keeping The Faith」の歌詞を読んでみて、
この曲がアルバム全体のテーマになっていることに気づいた。
もう少し詳しく言い換えると、
なぜ80年代にこんなノスタルジーに溺れていると思われるような
アルバムを作ったのか、その意思表明になっている。
だからアルバムのラスト・ナンバーとして
この曲は必然だったのだ。
「Keeping The Faith」の歌詞の最後の一節が
痛烈に心に染みたので抜粋しようと思う。
古き良き時代はいつも良かったわけじゃない
それに明日だって思っているほど悪くない
今までの僕の人生はこんなものさ
さあ 表に出かけていって
木陰でよく冷えたビールでも飲もう
45回転シングルでも聴くとしようか
ロックン・ロールを聴いていると
生きていることがとても素晴らしく感じる
そして 想い出はいつも鮮やかだ Yeah
僕は誓いを守り続ける
僕は誓いを守り続ける
そうさ
僕は誓いを守り続ける
いつまでもね……
今日のBGM:「Keeping The Faith」by Billy Joel