2013年12月31日

Showa Songs

先程、地元の忘年会に出席した後、
湘南の音楽仲間Sさんの車で家まで送って頂いた。
ドライヴのBGMは『筒美京平 アルティメイト・コレクション』。

Sさんとは同世代で(誕生日が1日しか違わない)
カラオケ仲間ということもあり、
昭和歌謡の話題で盛り上がることが多い。
奇しくも今年は『あまちゃん』のせいもあって、
やれキョンキョンだ薬師丸だベストテンだと散々盛り上がった。

それは僕らだけでなく、世の中もそうだったみたい。
雑誌では歌謡曲特集が組まれ、
80年代アイドル・ブームを顧みる番組なども多かったように思う。
そういうものにどっぷりと浸るのは
思春期を思い出して懐かしいし楽しいけれど、
ちょっとした虚しさも感じてしまうのは自分だけだろうか。

最近読んだ『GINZA』というファッション雑誌がやはり
“ザ・歌謡曲特集”で、巻頭に松本隆氏のインタヴューが載っていた。
「昨今の歌謡曲ブームをどう思いますか?」という質問に、
松本さんは「歌謡曲ブームというより昭和ブームなんじゃない?」
と応えていた。「昭和にも大正時代を懐かしむようなことがあったよね」と。

先行き不透明で不安な時代になればなるほど、
未来が明るかった(と思われていた)古き良き過去の時代に
想いを馳せるような現象が起こるということなのか。
そこには創造的な目線はあまり感じられないような気もして、
前述した“虚しさ”はそういったところからも感じるのだが、
でもそれはいつの時代にもあって、
特に虚しくなるような必要もないのかも知れない。
(温故知新と言えば聞こえはいいけど、
懐古趣味と言われるとマイナスのイメージだったりして
捉える側によって評価が変わる気もする)

ひとつだけ言えるのは、いつの時代にもいいものはいいし、
悪いものは悪いという本質的な価値判断を、
時代の空気に惑わされないで見極めていきたいということ。
(昭和歌謡の中にもいいものもあり面白くないものもある。
…恐ろしく当たり前のことを言ってるな)

古いものが大好きで、
一見ノスタルジーに浸っているような
こんなブログを日々更新しているような自分が言っても
何の説得力もないかもしれないけれど。

というわけで、
また来年も時代に関係なくいいものを自分なりに見極めて
ここに記していけたらと思っています。

今年1年間、お付き合い有難うございました。


今日のBGM:「帰れない二人」by 井上陽水

↑昭和を代表する大名盤『氷の世界』から、
時代に左右されない普遍的な1曲を。

先日NHK-BSプレミアムで放映された
『井上陽水 ドキュメント「氷の世界40年」』が面白かった。
「心もよう」と「帰れない二人」のどちらを
シングルA面にするかで揉めた話とか、
ロンドン・レコーディング秘話とか。
ちなみに僕がこのアルバムで昔から一番好きなのは「Fun」。
(巷のアンケート調査ではアルバム中最下位だったけど、
リリー・フランキーが好きな曲だと言っていて救われた!)


氷の世界.jpg




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2013年12月24日

Merry Christmas Baby

ちょっと前になるが、Brandinのフリー・マーケットで
UKシングル盤の放出セールがあった。

結構な量が出てて、値段は50円、150円、300円均一。
全部で14枚買ってちょうど2000円也。
かなり汚い盤もあったので、
聴く前に水でジャバジャバ洗浄し、しばらく乾燥。


Washing Eecords.jpg

↑乾燥中のシングル盤。風呂場の湯船の蓋の溝が
レコードを立て掛けるのにピッタリなことを発見。


ひと通り聴いてみたら
安かった割に良い曲がたくさんあったので、
一部を選んでレビューしてみます。

●ジョナサン・キング「Everyone's Gone To The Moon」
(Decca F 12950 / 1965)
昔から大好きなこの曲があったらいいなと探していたらビンゴ!
10ccの名付け親&世に送り出した男の60年代の出世作。
めくるめくストリングスの夢見心地な1曲で、
デッカ録音のいい音で聴くとその魅力が倍増する。
B面の「Round, Round」という曲がモロにバディ・ホリー風で、
この人、意外とジョー・ミークなんかと近いセンスなのかも。
(イギリス人てほんとバディ・ホリー好きね)

●カレン・ヤング「Que Sera Sera」
(Major Minor MM 691 / 1970)
探索中に音楽仲間のIさんが「こんなのあったよ」と教えてくれた1枚。
なんとレーベルに“Specially arranged by Paul McCartney”って書いてある。
メリー・ホプキンのヴァージョンと比べると、
かなりポップス寄りでこっちの方が自分好み。
(ポールのアレンジっぽくベース・ラインが動きまくり!)
調べたら当時日本盤も出ててびっくり。

●クリス・アンドリュース「Yesterday Man」
(Decca F 12236 / 1965)
全英3位のヒット曲。音圧が凄くて迫力満点。
メロディがギルバート・オサリヴァンの
「I Don't Love You But I Think I Like You」っぽい。
クリス・アンドリュースは先日のブログで紹介した
スー・リンの「Don't Pity Me」(最高!)のプロデュースもしてて、
最近とても気になる人。

●バリー・ブルー「Dancin'(On A Saturday Night)」
(Bell 1295 / 1973)
昨年マイクロスターがリリースしたクリスマス・ナンバー
「Happy Christmas To You From Me」のオリジナルが
バリー・ブルーとリンジー・ディ・ポールだったけど、
これもそのコンビによる曲だったので買ってみた。
オリジナル・シングルの音圧で聴くと、
時代的にグラム・ロックな音がしててカッコいい。
でも曲調はベイ・シティ・ローラーズ(笑)。
(もうひとつの「Saturday Night」?)

●ポール・アンカ「I Can't Help Loving You」
(RCA 47-8893 /1966)
なぜポール・アンカのアメ盤があったのか分からないけど、
今回一番のみっけもん。アレンジとプロデュースが
チャーリー・カレロで、曲作りにアーティ・シュロックが絡んでる。
もうサウンドが完全に絶頂期のモータウンで、
宮治さんによればノーザンソウル界隈ではかなり有名な曲らしい。
70年代に入ってからの再発盤だったけど、これも音圧が凄かった。


僕が買ったのはほとんどが50円盤ばかりだったので、
すごくコスパの高い充実した買い物になりました。
宮治さん、またやって下さいな。


今日のBGM:「Merry Christmas Baby」by Kimi & Ritz

↑これも50円で仕入れたナンバー。
全く知らないアーティストと曲(ビーチ・ボーイズのとは同名異曲)
だったけど、クリスマス・ソングだからと買ってみたら大当たり!
スペクター・サウンドの実にロマンティックな曲でした。

Merry Christmas!!


Kimi & Ritz.jpg


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2013年12月21日

Someday At Christmas〈Part 4〉

昨日の続き》

その日はもう遅いので、
鎌倉ではなく千葉の実家に帰った。
翌日、『ドレミファブック』のレコードを両親に見せて、
記憶にないか聞いてみたが「全くない」とのつれない返事。
「あなたたちが僕に買い与えたんですけどね」と言っても
「さあ?」と首を傾げるばかり。
まぁ無理もないか。40年も前のことだ。

一応、父親の部屋のレコード棚や、
押し入れの自分の幼い頃の荷物をひっくり返して探してみたが、
目当てのレコードや絵本らしきものは一切出てこなかった。

そして昨晩、Kさんに頂いたレコードを
もう一度じっくりと聴いてみた。
(クリスマスの晩まで待ちきれず)


Doremifa Records1.jpg

↑これがジャケット表。サイズは7インチよりも若干大きかった。


Doremifa Records2.jpg

↑ジャケット裏。


なんとA面1曲目の「ジングルベル」のヴォーカルは
シンガーズ・スリーだった。
自分はこんなにも幼い頃から伊集さんの声に慣れ親しんでいたのか。
アレンジもアニタ・カー・シンガーズみたいな感じの
オシャレなソフトロック。
他の曲もフルートやチェンバロ、ヴィブラフォンなどを
多用したゴージャスかつ繊細なアレンジで、
子供用だからと決して手を抜いていない素晴らしい仕事ぶり。

B面の「ファミリー・クリスマス」は
ある家族のクリスマスの夜の出来事を描いた物語。
父親役を演じた児玉清の暖かい声が子供心にすごく印象に残っていて、
児玉さんが亡くなった2年前に、
ふとこの物語のことを思い出して書いたのがこの日のブログだった。

でも微かな記憶を頼りにしてブログに書いた物語の内容は全く違っていて、
息子が高いツリーを登って宇宙に行ってしまうのは夢ではなくて、
家族の前で披露した彼の妄想だった(そっちの方が物語として面白い!)。

今聴くと、高度経済成長期の日本が理想としていたような
幸せな4人家族(当時都会で増えていた核家族)の風景が描かれていて、
少々くすぐったい気持ちになるけど、
当時の子供たちはまさにそういった家族と共に
このレコードを楽しんで聴いていたのだろう。
(もちろん自分もその1人だった)

この物語の中にも、
さまざまなクリスマス・ソングが挿入されているのだが、
それらの曲も小粋なアレンジでいちいちセンスが良い。
(例えば「ホワイト・クリスマス」は
フィンガー・スナッピンを効かせたスウィング・ジャズ風!)
本当に細かいところまで丁寧に作っていて驚くばかり。

ドレミファブック・シリーズで披露されたこれらの曲は、
現在第一線で活躍している同世代のミュージシャンたちにも
大きな影響を与えているようだ。
スピッツの草野マサムネ氏、スカパラの沖祐市氏、
L⇔Rの黒沢健一氏などがその影響を公言しているとか。

今回「ドレミファブック」との再会を経験して、
自分の音楽体験の原点みたいなものを再確認したような気がする。
そして自分の“クリスマス好き”の原点も。

この「ドレミファブック」のレコードを
いつか、クリスマスの時期に聴きたいと長年思っていた。
その夢を叶えてくれたKさんとそのご家族に心からお礼を言いたいです。
本当にありがとうございました。

《終わり》


今日のBGM:「ママと ふたりの クリスマス」by 加藤みどり

↑A面収録の5曲のうち、唯一のオリジナル・ナンバー。
作詞は若谷和子、作曲は服部公一、歌は「サザエさん」の加藤みどり。
チェンバロの響きが切ないバラードで(母子家庭の歌?)、
自分の中では『ひらけ!ポンキッキ』の
「ぼくわるかった」に匹敵するほどの名曲!


posted by Good Time Graphicker at 17:38| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする