2013年09月27日

I Don't Want The Night To End

一昨日のイベント「Good Old Boys」の“ニック・ロウ特集”に
来て頂いた皆さん、有難うございました。

大のニック・ロウ・ファンの高橋千賀さん、
同じくニック・ファンでペット・サウンズ店員の東尾沙紀さんの
女性お二人をゲストに招いての試みでしたが、
(石川さんの日記によると)主催者側のニックへの熱い思い入れは
届いたようでホッとしています。

個人的にはもっと話したいエピソードがたくさんあって
(例えば「Let Me Kiss Ya」にロッド・マッケンが出て来たり、
「All Men Are Liars」でリック・アストリーをけなしてたりする
面白い歌詞の話や、アルバム・タイトルに隠された言葉遊び、
ベーシストやプロデューサーとしての魅力などなど)、
どうでもいい自分の昔話(ジャケットの鼻毛の話とか)などせずに
それらにちょっとでも触れれば良かったとか、
いやいや自分は散々喋りすぎたので
もっとゲストお二人の“女性目線”のニックの魅力などを
うまく引き出せたりできたら良かったかなぁとか、
とにかく終わった後に後悔がどっと押し寄せてきました。

好きなアーティストの曲をバランスよく紹介しながら、
その歴史と魅力を上手に伝えるのって本当に難しい。

その中で千賀ちゃんのフィルモア・ハイプの詳細な説明や
L⇔Rと絡めた出会いのエピソード、
沙紀ちゃんの「Heart Of The City」(Live Version!!)や
リトル・ヴィレッジへの熱くて渋い思い入れなどが、
今回のイベントを一層奥深く、色鮮やかなものにしてくれたと
確信しています。

ゲストのお二方、本当にどうも有難う&お疲れ様でした。

今回のイベントで個人的に改めて気付いたことは、
ニック・ロウってつくづく“曲ありきの人”だなぁと。
「いい曲打率」がハンパなく高い!

「いい曲」ってメロディと詞がいいのは当然で、
アレンジと演奏が良くて、更に歌唱と録音も…ってなると
そうそう簡単には生み出せないと思うけど、
ニック・ロウは長い活動の中で結構な確率で生み出してる。
ブリンズレー時代、スティッフ〜Fビートのソロ絶頂期、
90年代以降のシブい時代と、サウンドの傾向は変わっても
いつの時代でも「いい曲」をたくさん届けてくれるのだ。

90年代初めにレイン(Rain)というバンドに
プロデュースを頼まれたニック・ロウは、
デモテープの何百という曲の中からたった2曲だけ
いい曲をめざとく見つけ出して、
その2曲だけならプロデュースをしてもいいよと応えたそうだ。

そんなエピソードからも分かる、
何がなんでも初めに「曲ありき」の頑固なポップ職人としての姿。

僕がニック・ロウの一番好きで
信頼してるところはそこなのだ、と痛感した一夜だった。
(そして終わった時にちょっと寂しくなった夜でもあった…)


今日のBGM:「You Stabbed Me In The Front」by Nick Lowe

↑こういう隠れた名曲も紹介したかったな…。

1990年リリースの『Party Of One』用にレコーディングされたが、
当時アナログには収録されなくて、
後にジャケ違いでCD再発になった時にボートラで発表されたナンバー。
(イベントの時にド忘れしてタイトルが出て来なかった…)
マージービート直系の甘い旋律がハートを直撃!


Party Of One.jpg


posted by Good Time Graphicker at 05:30| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月17日

Zooey & Tracyanne

アナログ・レコードで購入したまま忙しくて聴けず、
ずっと壁に飾ったままだった
シー&ヒムの新譜『Volume 3』を最近よく聴いている。


Volume 3.jpg


サウンドが豊かになった分、
耳に残るメロディがあまりないような気がするものの、
相変わらずマニアックなカヴァーのセンスや
薄いヴィブラートがグッとくるヴォーカルなど、
今作もズーイー・デシャネルの魅力が全開な作品。

スペクター&ビーチ・ボーイズな
「I've Got Your Number, Son」を聴いて
(こんなキャッチーな曲がもう2、3曲あればいいのに!)、
なんかカメラ・オブスキュラみたいだなと思ったけど、
実際このふたつのバンドは最近急接近してて
ツアーも一緒に回ってるようだ。

そのカメラ・オブスキュラの新譜『Desire Lines』も聴いた。
前2作のウォール・オブ・サウンドは影を潜めて
初期の頃のインディーズ・サウンドに戻った感じ。
80'sのニュー・ウェイヴな味付けなども増えたりしてて、
そんな新たな方向性を提示した
今回のプロデューサーであるタッカー・マーティンは、
シー&ヒムのM・ウォードに紹介されたという。


Desire Lines.jpg


カメラ・オブスキュラのヴォーカル&ソングライターの
トレイシーアン・キャンベルと、
ズーイー・デシャネルのセンスが似ていると前々から思っていたが、
正直このふたつのバンドがここまで接近するとは思わなかった。
(一時期同じレーベルだったということもあるけれど)

ズーイー「今回のアルバムはカメラ・オブスキュラっぽい
厚いサウンドにしたいと思ってるの」
トレイシーアン「あらそう、なら私たちは
シンプルなバンド・サウンドに戻るわ。
誰かいいプロデューサーいないかしら…」
ズーイー「相方に相談してみる」

今回この2枚の新作を聴いて、
まるでこんな会話が交わされたみたいだなと思ってしまった。

サウンドがシンプルになったとしても、自分にとって
カメラ・オブスキュラの音楽そのものの魅力は何も変わらない。
そもそもトレイシーアンが作るメロディと歌詞が好きだからだ。
彼女の作るメロディは自分の一番ナイーヴな箇所を突いてくる。
それは甘い既視感に襲われるような不思議な感覚を伴っていて、
自分にとってそういうソングライターは少ない。
(他に思い付くのはフェアグランド・アトラクションの
マーク・E・ネヴィンくらい)

トレイシーアンが自分と同じ体験を共有してるんじゃないかと
勝手に思ってしまうのは、歌詞の世界でも同じだ。
今回の新作の「I Missed Your Party」という曲には、
パーティには行かずに家でビリー・ジョエルを聴く女性が登場する。

私はビリー・ジョエルを聴くのが好きで
『フラッシュ・ダンス』をまた観ちゃった


こんな素敵なサビが何回も繰り返される曲なんて他にあるだろうか。
しかも「黄金時代の記憶にしがみついてるだけなのかな?」
なんて(他人とは思えない)一節も登場する。

シー&ヒムの新譜でも
ブロンディの「Sunday Girl」がカヴァーされてて、
以前シーナ・イーストンの「Modern Girl」をカヴァーしてた
カメラ・オブスキュラ(=トレーシーアン)の
センスとほんと良く似てる。

というか育った時代が同じというだけなのかな?
(僕らにとっての黄金時代である80's万歳!)


今日のBGM:「Baby」by Ellie Greenwich

↑シー&ヒムの新作のカヴァーの中で一番驚いたのがこの曲。
エリー・グリニッチが1965年にリリースしたシングルのB面曲で、
まるでブライアン・ウィルソンがプロデュースしたみたい。
いかにもビーチ・ボーイズ・フリークのズーイーが選びそうな曲だ。
(ちなみにカメラ・オブスキュラは過去に
バリー・マン&シンシア・ワイル作品をカヴァーしてる)


Ellie Greenwich.jpg


posted by Good Time Graphicker at 06:12| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月11日

The Rose Of England

水上さんと隔月で開催している音楽&トーク・イベント
「Good Old Boys」が今月の25日(水)にあります。

今回は、10月に初のクリスマス・アルバム
『Quality Street: A Seasonal Selection For All The Family』をリリースし
(何とロイ・ウッドの「I Wish It Could Be Christmas Everyday」を
カヴァーしてるらしい!)、11月には来日公演も控えている
英国のポップス職人、ニック・ロウを特集します。

ゲストは「GOB」3回目の登場となるお馴染み高橋千賀さんと、
ペット・サウンズ・レコード店員の英国音楽好き素敵女子、
東尾沙紀さんをお迎えします。

洋楽ソロ・アーティストの単独特集、
2人の女性ゲストと、初めてづくしの「GOB」ですが、
果たしてどうなることやら…。
(今回は久々にフライヤーを制作してみました↓
クリックすると大きな画像で見られます)


Nick Lowe Flyer.jpg


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音楽&トーク・イベント「Good Old Boys」
出演:水上徹/高瀬康一 ゲスト:高橋千賀、東尾沙紀
日時:2013年9月25日(水)Open:19:00 / Start:19:30
入場料:1,000円
場所:Live Cafe Again
東京都品川区小山3-27-3 ペットサウンズ・ビル 地下1F
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なぜにニック・ロウ?と思われるかもしれませんが、
ニック・ロウって大ヒットもないし音楽もシブいのに
日本では特に人気があるミュージシャンだと思うんです。

佐野元春&伊藤銀次あたりが最初の世代(かな?)、
その後L⇔Rの黒沢兄弟、Great 3の片寄さん、
そしてミッシェル・ガン・エレファントの世代まで、
ニックを敬愛するミュージシャンが魅力を語ってくれたせいもあって、
世代を越えて人気が綿々と続いてきたような気がします。
(日本には「Cruel To Be Kind」の珍カヴァー
「恋のホワン・ホワン」もあるし!)

その割には今までメディアなどでは
音楽性がちゃんと語られてないような気もしていて、
残念に思ってました。

今回はそんな音楽性も踏まえつつ、
女性ゲストお二人のミーハー目線(←ここが大事!
かつて女性が語るニック・ロウ論なんてあったでしょうか!?)を中心に、
ニックの魅力を探っていきたいと思っています。

あと、恐らく今まで「Good Old Boys」では
ニック・ロウの曲が1曲もかかってない!
これは今回の特集のために(無意識に)とっておいたのかも…
と勝手に解釈しています。

ロッキン・ポップな名曲から鬼シブなレア曲までかけまくりますので、
ぜひ遊びに来て下さいませ。


今日のBGM:「How Do You Talk To An Angel」by Nick Lowe

↑ソロ4作目『The Abominable Showman』のラストに収録されていた
ドリーミーな佳曲。

昨日ゲストの千賀ちゃんから教えて貰った
ニック・ロウとデイヴ・エドモンズ(ロックパイル!)の
「Born Fighter」制作過程ドキュメンタリー映像
その映像の3分を過ぎたあたりから、
この「How Do You Talk To An Angel」の弾き語りシーンがあって、
とても好きな曲なので感動してしまった。


The Abominable Showman.jpg


posted by Good Time Graphicker at 05:54| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする