2013年08月31日

All About Popular Horns

久しぶりにHPの“Works”に新しい仕事をアップしました。

リットーミュージックから出ている季刊雑誌
『サックス&ブラス・マガジン volume 28』の中の、
“All About Popular Horns(ポピュラー管楽器全書)”という
連載ページのデザイン(コレとかコレ)を担当させて頂きました。


Sax & Brass Magazine.jpg


この連載は管楽器やホーン奏者たちが
ジャズやポップスやロックにどのように関わっていったのかを
歴史的に紐解いていくというもの。
もともとは90年代にイギリスで出版された原書を翻訳した連載で、
過去にすでに8回が終了しているが、
今号からはもう少しポップなレイアウトにしたいからと
編集長さん自らメールを頂いた。

なんでもこのHPの“Works”に載っている
『ブルース・ギター大名鑑』のレイアウトを見て
連絡を下さったとか。
(このHPも少しは営業の役にたっているのかと嬉しい驚き)

今回の連載では、
50年代のロックンロールや
ニューオリンズで多様化していったR&Bにおける
ホーン・セクションの重要性が語られていて、
(例えばファッツ・ドミノやリトル・リチャード、
レイ・チャールズの音楽にいかにバリトン、テナーなどの
サックスが大きな役割を果たしていたかなど)
レイアウト作業をしながら大いに勉強になった。

毎回5ページずつの連載だが、
80年代までずっと続くそうなので、
途中で降ろされないように頑張らなければ。

更にその連載のレイアウトを気に入ってくれた別の編集者の方から、
もう1ページ、デザインしてくれと急遽頼まれたのが、
マンガ『BLUE GIANT』に関するコラム。

現在『ビッグコミック』で連載中の
高校生がジャズ・プレイヤーを目指すマンガ『BLUE GIANT』について、
プロのサックス・プレイヤーが毎号読んで感想を綴るという、
今号から始まった連載コラム。
こちらのページも楽しくレイアウト作業が出来て、
普段全くマンガを読まない自分が
先日ついコンビニで『ビッグコミック』を手に取って
『BLUE GIANT』を立ち読みしてしまった。
まだまだ始まったばかりの熱血音楽マンガで今後の展開が楽しみ。

音楽業界、出版業界ともに色々と厳しい中、
こうやって好きな音楽関係のデザインに
携われることにホント感謝しています。


今日のBGM:「Tutti Frutti」by Little Richard

↑今回の“All About Popular Horns”の連載で語られている
リトル・リチャードのヒット・ナンバー。

この曲のレコーディング時におけるリーダーは
ドラムスのアール・パーマー。
ホーン・セクションのアレンジはリー・アレンで、
ピアノのヒューイ・スミスとヘッド・アレンジで
練っていったという。


Little Richard.jpg


posted by Good Time Graphicker at 04:16| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月19日

In The Good Old Summertime

めちゃめちゃ忙しいわけでもないのに
なかなかブログの更新が続かないのは、
先週1週間『アメリカン・ポップス伝 Part.4』を聞いたり
『朝まで“あま”テレビ』を観たりと、
色々とやることがあったから。

更にワーナーの「新・名盤探険隊」のパンフを作ったら
大量のサンプル盤が送られてきて、
(しかも“マスターズ・オブ・ポップ・シリーズ”まで。有難うございます!)
それを毎日1枚ずつ聴くという嬉しい“日課”もできた。


Meiban Tanken.jpg


そのワーナーの“マスターズ・オブ・ポップ・シリーズ”の第2弾で、
遂にシェルビー・フリントの代表作2作品が
オリジナル・フォーマットでCD化されるんだけど、
長年シェルビー・フリントのファンである
circustown.netの富田さんから、
シェルビーのドキュメンタリー映像が
YouTubeにアップされていることを教えて貰った。

http://www.youtube.com/watch?v=N0boQ4e3XZI

80年代のキーボード弾き語り時の映像や、
最近の彼女のジャジーな音楽活動も含めて、驚きの映像ばかり。
50年代にデビューして以来ずーっと音楽を続けていたんですね。
現在の彼女がアコギで「Angel On My Shoulder」をチラッと
弾き語りするシーンに感動したり、
自作のデビュー曲「I Will Love You」をレコーディングしてる
天使のような彼女のモノクロ写真に釘付けになったり。
(引き延ばしてポスターにしたいぞ)


Shelby Sings I Will Love You.jpg


そしてもうひとつの驚きのYouTube情報は、
以前「Good Old Boys」のイベントに来てくれたSさんから教えて貰った
マイロン・リー&ザ・キャディーズのホーム・ビデオ映像。

http://www.youtube.com/watch?v=nIEF6aSty-w&nomobile=1

マイロン・リー&ザ・キャディーズは
ミネソタで結成された5人組ロカビリー・コンボで、
全国的なヒットはなかったみたいだけど
ガレージ・パンクのハシリみたいなカッチョいいサウンドは
その筋の間では人気みたい。

この映像、何がスゴいって、
トミー・ロウ、ボビー・ヴィー、バディ・ノックス、レン・バリー、
ジミー・クラントン、ブライアン・ハイランド、
コンウェイ・トゥイッティ、デイル&グレイスなどなど、
60年代の有名なポップ・シンガーが次々と出て来る。
しかも美しいカラー映像で!

映像は全部でPart 1からPart 6まであって、
Part 3ではディック・クラーク仕切りのセレモニーで、
ロニー・スペクターとリトル・エヴァが一緒にダンスしてたり、
Part 4のプライベート・パーティ(?)の映像には、
フレディ・キャノンやリトル・アンソニーがなぜか女装して歌ってたりしてる。
場違いっぽいハーマンズ・ハーミッツとかも登場するし。

ボビー・ヴィーのあんなに動いてるカラー映像を観たのは初めてだし、
他のシンガーは写真でしか見たことがなかった人たちばかり。
マイロン・リー&キャディーズはこんな人たちとツアーをしたりして
友達だったってことなんでしょうか?
(英語のヒアリングが今イチで理解できてない)

以前バディ・ホリーのDVDを買った時に、
50年代に撮ったカラーのホーム・ビデオ映像が収録されてて
動くバディ・ホリーの姿(彼女と遊んでたりする)に
衝撃を受けたことがあったが、
今回の映像はそれに継ぐ感動かも。

こんな驚きの映像を見せられて、
しかも『アメリカン・ポップス伝 Part.4』の影響もあって、
また最近はオールディーズにどっぷり。


今日のBGM:「I've Told Every Little Star」by Linda Scott

マイロン・リー&キャディーズのホーム・ビデオには
一瞬だがリンダ・スコットも登場する。
まだ10代と思われる幼い佇まい。

↑曲はそのシーンのバックに流れる彼女のヒット・ナンバー。
最近ではなぜか『マツコの知らない世界』のテーマ曲に使われていて、
1週間に一度は聴いてしまう。


posted by Good Time Graphicker at 05:08| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月12日

Very Dionne

ちょっと間が開いてしまったけど、
前半に引き続きディオンヌ・ワーウィックの紙ジャケ再発
後半のレポいきます。

7月17日にリリースされた、
後半11タイトルのジャケット画像はこちら↓


Dionne Warwick7.jpg

Dionne Warwick8.jpg

Dionne Warwick9.jpg

Dionne Warwick10.jpg

Dionne Warwick11.jpg

Dionne Warwick12.jpg


1969年の『Soulful』から、
1977年の『Love At First Sight』までの11枚。
72年の『From Within』までがセプター、
同年リリースされた『Dionne』からがワーナー・ブラザーズと、
ちょうどレーベル移籍の時期と重なっている。

そういう意味では過渡期というか、
前半の充実期と比べて分が悪い作品もあるが
(セプター後期は契約枚数を調整するための編集盤だったりする)、
それでもバカラックの成熟した楽曲が多く聴ける
『I'll Never Fall In Love Again』や『Very Dionne』(共に70年)
などはやっぱり聴き応えがある。

意外だったのが、
バカラック=デイヴィッドと決裂した後のワーナーでの作品群が
新鮮に聴けてとても楽しめたことだ。

ディオンヌ=バカラック=デイヴィッドの黄金トリオが
60年代に残した名曲の数々が素晴らしいのはもちろんだが、
それ以外の道、もっとオーセンティックなソウル・シンガーとしての
ディオンヌも聴いてみたい…といった願いが叶えられるのが
ワーナー時代と言っていいのかも。

特にジェリー・ラゴヴォイと組んだ『Then Came You』、
トム・ベル制作の『Track Of The Cat』、
スティーヴ・バリを迎えた『Love At First Sight』の3作がすごく良かった。
当時の時代を代表するプロデューサーたちが「あのバカラックの後かよ!」と
力を入れないわけにはいかなかっただろうし、
それに応えるディオンヌも元々どんなタイプの楽曲でも
歌いこなせるシンガーなわけだし、まぁ悪いわけがないのだ。

ある意味バカラックの曲って時代を超越しちゃってるから、
時代と添い寝するようなポップス特有の下世話さが感じられないけど、
それに比べてトム・ベルやスティーヴ・バリの
70年代特有のショービズ臭さがたまらなく魅力的に感じたりもする。
(天上にいたディオンヌを下界に強引に引きずり降ろした感じ?)

しかしそんな新しいコラボに挑戦するもチャートでは惨敗で、
ワーナー時代のアルバムはセールス的には全く振るわなかった。
ディオンヌの復活はこの後にアリスタに移籍して、
バリー・マニロウのプロデュースによってだと、
島村さんのライナーで知った。
(長く続けることって大変だとつくづく思う)

ちなみに僕がディオンヌ・ワーウィックという存在を
初めてちゃんと意識したのは、
1985年のヒット曲「That's What Friends Are For」だった。
エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダー、グラディス・ナイトとの
ディオンヌ&フレンズ名義だったが、
作曲・アレンジ・プロデュースはバート・バカラックだった。
(アレンジとプロデュースはキャロル・ベイヤー・セイガーと共同)

この曲は本当に大好きで当時シングル盤も買ったが、
思えば70年代初頭にパートナーシップを解消した
ディオンヌとバカラックが、この曲で本格的にリユナイトしたのだった。

そこに辿り着くまでの長い道のりを、
今回の再発で辿ることができたと思うと何やら感慨深い。


Dionne & Friends.jpg


今日のBGM:「I Can't Wait Until I See My Baby's Face」by Dionne Warwick

以前このブログでも騒いだジェリー・ラゴヴォイ作のこの曲を。
(アルバム『Then Came You』収録)
オリジナルのジャスティン・ワシントンや、
アレサ・フランクリン、マデリン・ベルなどのヴァージョンよりも
ゆったりとしたバラード・アレンジで、これはこれで素晴らしい。


posted by Good Time Graphicker at 05:35| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする