(その仕事については追々書きます)
ぼちぼちブログを再開しようかと。
書きたいことは色々とあるのだが、
とりあえずは先日観たBSの音楽番組
『SONG TO SOUL〜永遠の一曲〜』のことを。
この回は10ccの「I'm Not In Love」の再放送だった。
オリジナル放送は見逃してたから、
再放送を楽しみに待ってた回のうちのひとつ。
英国が生んだ屈指の名バラードであるこの曲、
実は当初のヴァージョンではリズミカルなラテン調のナンバーだったとか。
それをなかなかうまくまとめられず、しばらくほっぽり投げていたところ、
ある日、ロル・クレームがポツリと言った
「僕らの声だけでかたちにできないかな」というアイデアに端を発して、
今のような繊細なアレンジになったという。
あのロンドンの霧のような「アーーーー」という多重コーラスは
テープ・ループによるものだったと初めて知った。
繋ぎ目が目立たないように延々長くループしたテープを、
スタジオの四隅に立ったメンバーがピンと張りながら持って再生させ、
曲の展開によってエンジニアがフェーダーで上げ下げしながら
オーバーダブしたという、鬼のような苦労話が披露された。
今ではDTMで簡単と思える作業も、
1974年当時はこんなにアナログな方法だったんですねぇ。
鈴木慶一氏がインタヴューで、
「当時、あのサウンドをどうやって作ったのか全く想像が出来なかった。
ギズモっていう新兵器の仕業なのか!?…とかね(笑)」と。
日本のミュージシャンが理解できないのも無理はない。
この曲をシングルとして発表した瞬間に、
ポール・マッカートニーやらエルトン・ジョンやらロイ・ウッドやら
名うてのミュージシャンたちが一斉に電話をかけてきて、
「素晴らしい!どうやって作ったんだ?」と聞いてきたというのだから。
番組にはストロベリー・スタジオのエンジニア、
ピーター・タターソールなんかも出演して嬉しかったが、
やっぱりロル・クレームとケヴィン・ゴドレイが出てこなかったのが寂しい。
まあ仕方ないか。この曲はスチュワート&グールドマン作だし。
昔、10ccが決裂した原因は、
この「I'm Not In Love」の大ヒットによるものだと
物の本で読んだことがある。
スチュワート&グールドマン作のこの曲のヒットで、
ゴドレイ&クレームが嫉妬したというのだ。
そんな単純なものでもないと思いたいが、
次作『How Dare You!』を最後にゴドレイ&クレームは脱退してしまう。
この日のブログで僕は、
スチュワート&グールドマン派を自認しているが、
それは通な音楽ファンにあまりにもゴドレイ&クレーム派が多くてウンザリして、
あえてスチュワート&グールドマン派を宣言したのであって、
本当はゴドレイ&クレームも大好きなのだ。
(ジョンが死ぬほど好きなのに、あえてポール派でいる、みたいな)
というか、オリジナル・メンバー4人の10ccが大好きなのだ。
(『Sheet Music』最高!)
なのでこの番組で、ゴドレイ&クレームの2人が
あまり関与していないと思っていた「I'm Not In Love」に、
ロル・クレームのアイデアが根本的な役割を担っていたという事実を知って、
とても嬉しかった。
この番組を観た直後、
大好きなベスト盤『Greatest Hits 1972-1978』を
久々に大音量で聴いてしまった。
(高校生の時に初めて買った10ccのアルバム。
↓アートワークはベスト盤でも手抜きのないヒプノシス!)

今日のBGM:「I'm Not In Love」by 10cc
↑この曲を初めて聴いたのは高校生の頃、
出光のTV-CMで流れてきて「なんていい曲なんだろう」と感動。
速攻で駅前のレコード屋でシングル盤を買った↓

でも悲しいかな、シングルは3分46秒のショート・ヴァージョンだった。
この曲の本当の威力を知ったのは、
その数年後にアルバム『The Original Soundtrack』を買って、
6分を越すオリジナル・ヴァージョンを聴いてからだったのだが。
ところで全然関係無いけど、
いつぞやの「空耳アワー」で「The Things We Do For Love」の
出だしを「爪にポーク、ハツ、ホルモンにレバー」と
空耳したヤツ、ちょっと尊敬した。