2013年04月30日

Don't Know What's Normal

湘南の音楽仲間Sさんに薦められて観始めたドラマ
『まほろ駅前番外地』が面白い。

もともと直木賞を受賞した三浦しをんの
『まほろ駅前多田便利軒』という小説があって、
それが2011年に映画化され、
更に続編のドラマ『まほろ駅前番外地』が
今年初めにテレ東で放映された。
自分が観ているのは、BSジャパンで日曜の夜に放映されている
その再放送。

色々と話題となっていたみたいだが、
その存在を今の今まで全く知らなかった。
ので、もちろん原作も映画も未体験。
ドラマだってまだ2回しか観ていない。

それだけでハマってしまった。

便利屋を営む二人の男(瑛太と松田龍平)の物語なのだが、
70年代にショーケンや松田優作が出演していたバディ物の青春ドラマと
決定的に違うのは、その恐ろしく冷めた空気感。
物語や設定のテイストは何となく70年代風なのに、
主役2人のやる気の無さ、低体温感がすごく今の時代を象徴していて、
そのギャップが面白いと思った。

ドラマは原作には無いオリジナル・ストーリーだそうだが、
ゴールデン・タイムには放送できないようなヤバめの話も多そうで
そこもハマった理由。
(一昨日放映された第4話では、股を広げた裸の女性の蝋人形を
始末して欲しいという依頼が来る。その蝋人形が作られた理由というのが、
まるで昭和のエロ小説みたいなグロい話ですごかった)

小さい頃に『探偵物語』を夢中で観ていたウチら世代のスタッフが、
(現に演出の大根仁は自分とピッタリ同い年)
松田優作の息子を使ってあの時代の枠組みだけを再利用して、
中身は今の時代の虚脱感、倦怠感みたいな空気を強烈に漂わせる…。
作り手のそんな狙いがビシバシ感じるのだ。

このドラマが月曜夜9時みたいな時間帯で放映されて
視聴率25%くらい取ったら、
テレビというメディアもまた面白くなりそうなのに。


今日のBGM:「まともがわからない」by 坂本慎太郎

↑エンディング・テーマ曲。
ドラマの空気感と気持ち悪いくらいリンクしてて、
最高としか言いようがない。
しかもSHOGUNの感じを今の時代でやったらこんな曲になりそう、
とも思った。


posted by Good Time Graphicker at 04:48| TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月27日

VANDA #30

あの『VANDA』が遂に復活!!


Vanda 30.jpg


『VANDA』といえばソフトロック・ファンジンとして
コアなポップス・ファンに人気の雑誌でしたが、
何と10年振りに刊行だそうです。

今回の復刊に関しては、
お世話になっている先輩デザイナー・奥山さんが尽力されて、
編集・デザイン・販売・営業的なことまで一切をやられています。
その力の入れようは、歴代『VANDA』の中でも
ずば抜けてカッコいい表紙にも表れているかと。

奥山さんに頼まれて、今回自分も
「ジャーマン・ラウンジの貴公子 ホルスト・ヤンコフスキー」
というコラムを書かせて頂きました。
10年位前からチマチマと集めていたホルスト・ヤンコフスキーの
アルバムをどこかでまとめて紹介したいと思っていたので、
良い機会となりました。
(文体もVANDAちっくな感じで書いてみたりして)

そんな拙稿とは比べ物にならないほどお薦めなのが、
宮治さんによる「バリー・デヴォーゾンと語った午後」というページ。
2008年にワーナーのサイト用に行ったものの
発表のタイミングを逃していた
バリー・デヴォーゾンへの未発表インタヴュー!

これが面白くて、
大瀧さんの「アメリカン・ポップス伝 Part.3」でも語られていた
マーティ・ロビンスやジョニー・バーネットへの曲提供の話や、
もちろんシェルビー・フリントやカスケーズ、
そしてバリー&ザ・タマレーンズも登場します。
まさに『VANDA』的な貴重な内容で、一読の価値ありです。

その他にもアンディ・ウィリアムスやグレン・キャンベル、
トニー・バロウズ、フランシス・レイ、宇野誠一郎などなど、
『レコ●レ』や『ミュージック・マ●ジン』では決して取り上げられない
非ロックなアーティストが目白押し!
この情報量の多さで980円は安いです。

お求めはこちらから。
(ディスクユニオン各店、武蔵小山ペット・サウンズ、
タワーレコード渋谷店等で店頭販売もあるとのことです)


今日のBGM:「I Wonder What She's Doing Tonight」by Barry & The Tamerlanes

↑もともとはカスケーズに書いた曲をバリー・デヴォーゾン自ら歌って、
めでたく全米21位のヒットとなったナンバー。
宮治さんのページには、
珍しいこの曲のシート・ミュージックも掲載されている。


Barry & The Tamerlanes.jpg


posted by Good Time Graphicker at 05:13| | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月23日

Elliot Easton's Tiki Gods

10年くらい前、
“Mintsmania!”というワンダーミンツのファンサイトに
参加していたのだが、そのメンバーから久々にメールが来た。

ザ・カーズのギタリスト、エリオット・イーストンの新譜に、
ワンダーミンツのギタリスト、ニック・ワルスコが参加してるという。

リンクされたサイトをよく見てみたら、
エリオット・イーストンは現在カーズの活動とは別に
エリオット・イーストンズ・チキ・ゴッズという
ギター・インストのバンドを組んでいて、
そのメンバーにニックも入っていた。

新作のレコーディングには、
ニックの他にもダリアン・サハナジャや
マイク・ダミコといったワンダーミンツのメンバーや、
プロビン・グレゴリーなども参加していてびっくり。
このメンツはここ10年間のブライアン・ウィルソンの復活劇を
影で支えてきた強者たちだ。

その新譜の音を試聴してみると、
21世紀に作られたとは思えないほどの
エキゾ感たっぷりのギター・ラウンジ・ミュージックで笑ってしまった。
そもそもこのジャケ↓からしてどうしようもなくエキゾだし。


Elliot Easton's Tiki Gods.jpg


ワンダーミンツの『Bali』なんかにも通じるけど、
西海岸で活躍する一部のセンスのいいミュージシャンに共通する
この“チキ感”や“環太平洋感”って一体どこから来るんだろう?


Bari.jpg


ちなみにエリオット・イーストンズ・チキ・ゴッズというバンドは、
1999年にリリースされたデル・ファイ・レーベルのコンピ
『Delphonic Sounds Today!』にも参加していて、
そこではセンチュリアンズというサーフ・バンドの
「Bullwinkle P. II」というとんでもなくマニアックなカヴァーを披露していた。


Delphonic Sounds Today!.jpg


思えば、デル・ファイというレーベルも
リッチー・ヴァレンスやチャン・ロメロといったチカーノ系や
エデン・アーベというエキゾ系のアーティストなどを擁していて、
何となく“チキ感”&“環太平洋感”を醸し出していた。

カルフォルニアのポップ・カルチャーに連綿と続く、
このエキゾティカな感覚に以前からとても興味を持っている。

そう言えば昔、
タッシェンから出版されていた
『The Book Of Tiki』というヴィジュアル本を買って、
よくデザインの参考にしていたことを思い出した。
エキゾでパラダイスなヴィジュアルがたっぷりで
見てるだけで夢心地になる素敵な本だった。


The Book Of Tiki.jpg


今日のBGM:「Monte Carlo Nights」by Elliot Easton's Tiki Gods

↑タランティーノの映画『ジャッキー・ブラウン』のサントラに収録された
エリオット・イーストンズ・チキ・ゴッズのナンバー。
80年代にピコピコなデジタル・サウンドでブレイクしたカーズのメンバーに、
こういうオールド志向なギタリストがいたってことが驚きだ。


posted by Good Time Graphicker at 04:19| 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする