『アトランティック R&B 1947-1974』をアップしました。
アトランティック創立65周年を記念して企画された
10枚組BOX SETが、一昨日ようやく発売された。
“ようやく”というのは、
企画そのものは2009年の秋くらいに話を頂いていたが、
権利許諾が難航して一回頓挫した経緯があったからだ。
3年越しの制作に遂に決着が付いたのだ。
本BOX SETの基となったのは、
アトランティックの創始者アーメット・アーティガンの監修により
1985年に発売されたアナログ・アルバム集(各2枚組全7巻)だ。
このレコード・セットは昔何回も中古レコード屋で見たことがある。
ソウルを本格的に聴く時にいつか買おうと思っていたが、
まさか自分がその改訂版のアートワークを手がけるとは
夢にも思っていなかった。
そのレコード・セットに収められていた収録曲を8枚のCDに再編集し、
更に鈴木啓志氏の選曲によるレアリティーズ2枚を加えた
CD10枚組として、今回新たに甦った。
もちろん最新デジタル・リマスタリングを施し、
多くのレア・ジャケット画像を眺めながら
鈴木氏渾身のライナーノーツが読める
オール・カラー全176ページのブックレットも付く。
CDパッケージの仕様は
2009年に手がけた『ジャズ・イン・スウェーデン:1949-1961』の、
カンパニー・スリーヴ風の厚紙にCDディスクを差し込むタイプの
フォーマットを今回も採用。
まるで7inchのシングル盤が10枚分入っているかのような
重量感溢れるシングル・レコード・サイズのボックスだ。
今回デザイナーとして特にこだわったのは、
カンパニー・スリーヴを模したCD挿入厚紙のデザイン。
『ジャズ・イン・スウェーデン』では全て統一したデザインだったが、
今回はアトランティックの歴代カンパニー・スリーヴのデザインを
収録曲の時代に合わせて復刻してみた。
40年代〜50年代の曲が入った盤では茶紙の2色刷り、
60年代〜70年代の曲が入った盤では白紙の4色刷りといったように、
時代に合わせて紙質と印刷の仕様も変えるといった懲りようで、
10枚全てが違うデザインとなっている。
本作のプロデューサーであるワーナーの宮治さん(と自分)の
7inch & カンパニー・スリーヴへの愛が爆発した
傑作パッケージになったと自負している。
内容についてはここで細かく書く必要はないでしょう。
R&B、ソウル・ミュージックという枠だけに収まらない、
20世紀の文化遺産と言っても過言じゃないと思う。
エルヴィスがスペクターがキャロル・キングがビートルズが
胸を焦がして憧れた、まさに魂の音楽が目一杯詰まっている。
有名曲、歴史的重要曲が惜しげも無く次から次へと登場する
Disc 1〜Disc 8が本ボックスの主役であることに間違いはないが、
個人的に楽しめたのはレア曲満載のDisc 9とDisc 10だ。
入手するのに数千ドルを要するというノーザン・ソウルの
メガレア・シングル曲なども収録されているようだが、
そんな希少性よりも、
単純に聴いていてめちゃくちゃカッコいい曲が多かった。
鈴木啓志氏の選曲は、往年のディープなソウル・ファンの価値観も
考慮に入れつつ、ジャンプ・ブルースやジャイヴなどを好む
近年の若いDJセンスにもしっかりと目配せをしているように思えた。
なにせ10枚組で全253曲。通して聴いたら11時間以上!
これから長い時間かけてたっぷりと楽しませて頂きます。
(興味がある人はこちらからどうぞ。なお本作は店頭でも購入可能)
今日のBGM:「Bip Bop Bip」by Pretty Boy
↑Disc 9に入っている、衝撃的なインパクトだったナンバー。
ロックン・ロール黎明期の特徴である
エグいヴォーカルと荒々しい演奏に完全に打ちのめされた。
(オリジナル・シングルの音圧、スゴいだろうなぁ)
実はこの“プリティ・ボーイ”の正体は若きドン・コヴェイで、
当時彼はリトル・リチャードの追っかけだった。
リチャード本人から、彼のバンドのアップセッターズを借りて
録音を許されたのがこの「Bip Bop Bip」だったという。
(猥雑さとやさぐれ感はリトル・リチャードよりも上をいく!)

